ヘルスケアデータのトークン化は業界の未来に革命を起こす

 最終更新日2018/12/17 公開日2018/12/17    この記事は 約7分 で読めます。

ヘルスケアデータのトークン化を模索しているスイス拠点のHIT財団という団体がNEMブロックチェーンを利用するとのことで、フォーブスに掲載された記事を和訳してみました。

ヘルスケアデータのトークン化は業界の未来に革命を起こす

私たちのヘルスケアデータが金と同等の価値を持つことは誰でも知っています。

PwCの見積もりによれば、コネクテッド・ヘルスケア(インターネットで相互に接続された医療)の市場規模は2020年までに世界中で610億ドルに達すると考えられています。

Transparency Market Researchによる別の報告では、2025年までに全世界のデジタルヘルスケア市場は5366億ドル規模になると示唆されています。

しかし、そのことはヘルスケア産業にとっての好機となる一方で、私たちは自分のヘルスケアデータの共有方法について信頼をしなければなりません。その際にブロックチェーンが役に立つのです。

スイスに拠点を置くHIT財団は、ヘルスケアデータのトークン化を模索しており、NEMブロックチェーンを使用することでヘルスケア産業を変革できる可能性があると考えています。

「ヘルスケアのコストは上がり続けており、従来型の政府によるトップダウンのアプローチはもはや管理が不可能で、適切ではありません。その結果として、コストを抑えようと努力しているヘルスケア提供業者への予算が減少してしまっています。」

とHIT財団のCOOであるElizabeth Chee氏は述べました。

Chee氏はさらに、ヘルスケア業界が現在抱える課題は、データのサイロ化から詐欺の請求に至るまで、データや情報とその交換の問題から生じていると指摘します。

「そのことから、ヘルスケア提供者は、規制機関と患者の両方からより高いレベルのコンプライアンスと透明性を求められているのです。

そのためには、ボトムアップ方式から脱却し、患者だけでなく健康な人々も積極的に自分の健康とヘルスケアデータを管理することが可能になるような、根本的なアプローチ変更を行う必要があります。」

と彼女は語りました

HIT財団のホワイトペーパーによれば、同社は「個人が自分のヘルスケアデータをデジタル化および収益化し、その使用を追跡することのできるマーケットプレイス」を提供しています。

それを実現するために、同社のプラットフォームは、既存の三つの問題を解決しようとしています。つまり、ヘルスケアデータの独占がサイロ化と非効率性を生んでいること、個人が自身のヘルスケアデータを要求、記録、デジタル化、更新する動機が欠けていること、そしてデータのプライバシーの欠如です。

HIT財団とHITトークンを活用することで、個人は自身のデータに関するアクセスを許可し、NEMブロックチェーンによってそれを収益化することができ、その一方でスマートコントラクトによって、病院や研究機関、政策立案者がどのようにそのデータを使用するかを設定することができます。

ヘルスケアサービスを利用できない36億の人々にとって、ヘルスケアデータのトークン化は、政府が定期的に国民に支給する、普遍的なベーシックインカムの支えにもなります。

Chee氏は、ヘルスケアデータのトークン化は、データの所有権を民主化しデータの流動性を向上させるため、非常に大きな可能性を持っていると考えています。

「誰があなたのデータを共有するか、そしてどの程度、どのような方法でそのデータが共有されて使用されるかを自分で決定することができます。

誰があなたのデータをどんな目的で要求しているかを明確に知ることができます。そして、最終的にそれに同意するかを決めるのは本人なのです。」

と彼女は付け加えました。

医療データの収集は個人の力に後押しされて数十億規模の産業となりました。調査によれば、ドイツ国民の54%は、健康保険に関するメリットがあるのであれば自身のヘルスケアのデジタルデータを提供しても良いと考えています。

一方でフランスでは、99%の回答者が、見返りに金銭的な報酬があるのであれば、自分の個人データを渡しても良いと答えました。しかし、別の研究では、79%のドイツ国民が、自身のヘルスケアデータを誰が閲覧するかを決定する権限がほしいと答えています。

ヘルスケア市場におけるブロックチェーンが、2018年現在の1億7680万ドルの規模から、2025年までには56.1億ドルの規模になると予測されていることを考えると、ブロックチェーンは間もなくヘルスケア業界の企業の間に急速に普及するかもしれません。

ホームケアモニタリングサービス

ヘルスケアデータのトークン化は、すでに多くの専門家と研究者によって世界中で模索されています。研究の取り組みには、患者が正しい薬の処方を受けることができるように、ブロックチェーンによって心の健康状態を診断するものなどがあります。

家庭用の非医療ホームケアサービスと個人向け健康危機モニタリングシステムを提供する、Affinity Home CareのCEO、Arcun Tanju氏によると、ヘルスケアのトークン化によって、年配の人々の健康状態をモニタリングして、予後を改善する手助けにもなるということです。

「トークン化の運動は、お年寄りが自身のヘルスケアデータをデジタル化する動機にもなります。その見返りとして、そのデータを使って、お年寄りのための新しい予防医療サービスが開発されるからです。

私たちは、そうした予防医療サービスを利用することを目的として、お年寄りの間でトークン化が幅広く普及すると考えています。

新しい機能の恩恵を受ける一方で、お年寄りはデジタルヘルスケアネットワークに参加している機関が提供するサービスを無料で利用することができます。」

現在、Affinity Home Careは、モノのインターネット(IoT)デバイスを通じて、クライアントに個人向けの健康危機モニタリングサービスを提供しています。

彼は、IoTデバイスとサーバーソフトウェアは、HIT財団が開発したブロックチェーンを基盤としたデジタルヘルスケアネットワークの一部として機能することになる、と述べました。

「収集したデータを活用した新しい機能によって、私たちは質の高い予防医療サービスを提供し、お年寄りがもっと人生を楽しむことができるようにしていきます。それと同時に、ヘルスケアにかかる全体の費用も削減できるのです。」

とArcun氏は語りました。

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