テックビューロ社の北米CEOとCPOへのインタビュー~開発者のブロックチェーンスキルの不足はすぐに問題ではなくなる
最終更新日2018/06/17 公開日2018/06/17 この記事は 約9分 で読めます。
テックビューロのTom Beno氏(Tech Bureau North America CEO)とNate D’Amico氏(Chief Product Officer)へのインタビュー和訳です。JAXenterという人が質問者。
“Developers’ lack of #blockchain skills won’t matter in the immediate future” https://t.co/M48OhywrUJ
— JAXenter.com (@JAXenterCOM) May 25, 2018
ブロックチェーン市場の勢いは衰える気配はなく、その技術はフリーランス求人市場においても最も求められているスキルの1つです。
しかし、Tom Beno氏とNate D’Amico氏によれば、ブロックチェーンに関するスキルはもうすぐ問題ではなくなるのだといいます。どのようにして、その技術は開発者にとってアクセスしやすいものになるのでしょうか?では見ていきましょう。
JAXenter:ブロックチェーン開発者は広範囲のスキルセットを必要とし、ソフトウェアエンジニアリング、暗号法、数学、情報セキュリティなど様々な分野に長けていなければなりません。どのようにすればこのプロセスをシンプル化して、多くの人々がブロックチェーン技術の実験を行うことができるようになるでしょうか?
Tom Beno:今言及された技術に加えて、ブロックチェーンがどんなソリューションを提供するか、ということについての思想的な理解が必要だと私は考えます。結果からさかのぼって考えれば、その技術はそこに到達するために使われる一連のツールということになります。
必要とされる広範囲のスキルは教えたり習うことが可能です。しかし、人々を実験に向かわせるものは、実際のビジネスにおけるブロックチェーンのユースケースについてのソリューション志向の理解です。
Nate D’Amico:エンドユーザーにとっては、重要なのはユーザーエクスペリエンスの設計であり、ユーザーとブロックチェーンの間に存在するアプリケーションやサービスです。
例を挙げると、私たちはユーザーがユーザー名やパスワードというものに慣れ親しんでいることを知っています。もしパスワードを忘れたり紛失した場合は、メールアドレスを入力して、パスワードをリセットするか回復して、再びアカウントにログインすることができます。
ブロックチェーンの世界のプライベートキーやパブリックキーの場合には、そのキーをなくしてしまえば、そのアカウントはユーザーから孤立したアカウントになってしまいます。
システムのセキュリティを維持したまま、「パスワードリセット」のような種類のユーザーエクスペリエンスを、ブロックチェーンを基盤としたアプリケーションに提供するには、まだまだ時間がかかるでしょう。
JAXenter:ブロックチェーンを開発者がよりアクセスしやすいものにするには、どうすれば良いでしょうか?
Tom Beno:ブロックチェーン技術は、オープンAPIをプラットフォームの設計に使用することで、開発者にとってよりアクセスしやすいものになります。有名なブロックチェーンのほとんどは独自のプログラミング言語で運用されています。そのことが、Java、C++、Pythonを使用する才能ある開発者が参加する際の障害となっています。
Nate D’Amico:それこそが、私たちが提供するブロックチェーンとツールによって解決を図ろうとしている問題の本質なのです。私たちの考えでは、ブロックチェーンをユーザーと開発者にとってよりアクセスしやすいものにする最善の方法は、それを使い始めてもらうことと、ユーザーエクスペリエンスの開発を可能な限り効率的で自分で行うことのできるものにすることです。
理想はブロックチェーンを様々なユースケースに利用し、その内部がどのような仕組みになっているかという難解な細部の心配をする必要のないオブジェクトモデルです。
たとえ話をするとすれば、昔は私たちはデータベースの内部がどのような仕組みか、そしてそれがどのようにしてb-treeを使ってストレージやクエリーを行っているのかを理解する必要がありました。しかしMySQLやPostgresのようなツールが誕生すると、あらゆる作業かアプローチしやすいものになり、シンプルなSQLとクエリーインターフェースでデータを保存するための、強固な地盤を提供することが可能になりました。
JAXenter:Catapultとは何でしょうか?それを使うことで、どのようにしてブロックチェーンアプリケーションをより容易に構築しデプロイすることが可能になるのでしょうか?
Tom Beno:CatapultはNEMプロトコルの第2弾のリリースです。すでにふれたように、オープンAPIの設計が採用されており、ユーザーはパブリックとプライベート両方の台帳でソフトウェアアプリケーションの開発およびデプロイを行うことが可能です。
Catapultは実際のビジネスにおけるユースケースを想定した機能を備えた設計となっています。例えば、アグリゲートトランザクション、繰り返し行われるpull通知、アトミックスワップなどです。
Nate D’Amico:Catapultは私たちのブロックチェーンの第2世代で、NEMのパブリックブロックチェーンのネットワークを支えるNEMプロトコルのバージョン2を提供します。
私たちは提供するあらゆる機能について「バッテリー内蔵」型のアプローチを採用しています。オープンソースのソリューションであれ、企業向けの製品ラインであれ、私たちはそれを開発者とユーザーが使い始めるのが簡単なものにしています。
例えば、私たちは、Catapultのサービスをユーザーのノートパソコンに約60秒で導入することのできる、オープンソースの開発用ブートストラップツールをリリースしました。それを実行するにはセットアップのテストに使用するAPIとプログラミングを学ぶだけでよいのです。
さらに私たちは、様々なパブリッククラウド上で稼働するセルフサービスデベロッパーラボも提供しています。それにより、開発者はボタンを押すだけで、無料のCatapultのスターターサービスを受けることができます。
こうしたツール以外にも、シンプルさやミニマルなオブジェクトモデルにはNEMプロトコルの素晴らしさが詰まっています。その一方でNEMはアセット管理向けの非常に強力なオンチェーンのコントラクト、ネームスペース、さらには最も高度なマルチシグネチャーアカウントのサポートも提供しています。
開発者たちは自分でコントラクトを書く必要はなく、他のREST APIサービスで行っているように、直接的なAPIコールを使用するだけでよいのです。
BlockchainとDevOps
JAXenter:現在のところ、私たちはBlockchainとDevOpsを異なる文脈で使われる異なる2つの用語だと考えています。しかし、その2つを共に使うことはできないのでしょうか?未来を共有することはできるのでしょうか?
Nate D’Amico:もちろん可能です。それには2つの要素があります。1つは、どのようにしてDevOpsの使い方とツールをより利用しやすいものにして、企業や開発者が製品に使う分散型台帳を、大きな規模で提供し維持することができるようにするか、というものです。
もう1つは、どのようにしてDevOpsの使用方法それ自体にブロックチェーンの分散型台帳を取り入れて、ツールやソリューションに利用するか、というものです。
前者については、すでに述べたように、私たちは開発がしやすく、セルフサービスで行えるシステムの実現に向けて努力をしています。したがって、私たちが行っているあらゆる作業は、100%のオートメーションの達成と、エンドユーザーからセットアップとコンフィグレーションの煩雑さを取り除くことに向けられています。
後者については、私たちには、企業向けのDevOps関連のソリューションを持つパートナー企業がいます。そのソリューションのコアにはCatapultが使用され、様々な機能と、ソリューションにおけるセキュリティを支えています。
JAXenter:開発者がブロックチェーン関連のスキルを持っていなくても、それは近いうちに問題ではなくなるとお考えですか?
Nate D’Amico:はい、その通りです。それはもうすぐ重要でなくなります。それこそが私たちの仕事であり、そのために私たちは日本とヨーロッパのタイムゾーンで働き、夜遅くまで作業をしているのです。私たちは顧客にいつもこう伝えています。
「ブロックチェーン開発者は必要ありません。あなたが使っている他の20種類くらいのサービスと同じで、SDKとAPIの使い方を知っている普通の開発者で大丈夫です。」
著者プロフィール
お忙しいところ、貴重なお時間の中での当サイトへのご訪問ありがとうございます。
WEBデザイナー/ディレクターとしてのリーマン生活を脱却し、FX専業(兼業?)トレーダーをやりながら、MT4のEA/インジケーターの開発やFX関連情報サイトを運営していました。
今ではもう暗号通貨に絞って福岡を拠点に隠密活動しています。主にNEM Symbolをガッツリ、EthereumのDappsは趣味程度に。10年以上のトレーダー経験を活かし、暗号通貨相場のテクニカル分析もやってます。
またの機会にぜひ当サイトをご利用いただけるご縁があればとても嬉しく思います。今後ともよろしくおねがいいたします。