2019年10月までの最新概要:NEMの次期バージョンCatapult(カタパルト)とは
最終更新日2020/02/27 公開日2019/03/28 この記事は 約28分 で読めます。
NEMが誕生したのは、「ネメシスブロック」と呼ばれるジェネシスブロック(最初のブロック)のタイムスタンプが押された、日本時間で2015年3月29日9時6分25秒です。
5歳を目前にした2020年Q1(1月~3月)にはもう1つの大きな誕生の瞬間が刻一刻と迫っています(2020年4月~6月に延期)
それがCatapult(カタパルト)です。
NEMの次期バージョンCatapultについて、新機能やアップデートされるポイント、リリース時期など、これまでにわかっている情報をまとめました。
開発は順調に進んでいますが、移行に関わる法的な問題の解決や取引所との調整、新しいブランディング計画のためなどにより、当初は2019年内にパブリックローンチという目標だったものが、2020年Q1(1~3月)に予定が変更されました。それだけクリアすべきタスクが多いのでしょう。
以下、技術者向けではなく、一般的なNEMユーザーやファン、投資家が「これだけ知っておけばいいかな」と思う範囲に絞って編集してみました。
※2019年10月6日時点での情報です。
目次
Catapult(カタパルト)とは?
NEMの次期バージョン(NEM2.0)のコードネームです。
コア開発者の中心人物であるジャガー氏はCatapultのビジョンは「プライベートとパブリックのユースケースの両方に適した、柔軟に設定可能で、パフォーマンスの優れたブロックチェーン」であると語っています。
プライベートチェーン版からパブリックチェーン版へ
最初にそれらの違いを確認しておきましょう。この2つの存在がキーポイントにもなります。
プライベートチェーン版
特定の管理者のいる中央集権型のブロックチェーンです。例えば、企業がトランザクションを公に晒したくない(する必要がない)が、自社の会員制サービス内でNEMブロックチェーン技術を使いたいようなニーズに応えるためのものになります。
パブリックネットワーク利用(送金)手数料が発生しないことも特徴です。
パブリックチェーン版
特定の管理者のいない本来の分散型ブロックチェーンです。私たちが普段XEMを取引所に送金したり、決済で相手に送金してる部分になります。
例えば…
nemlogやnemstoreは個人の方が開発・運営しているいわば中央集権型のサービスですが、投げ銭や決済部分ではパブリックチェーンが利用されています。
コンテンツサービスが不慮の事態などで運営不能になってしまったとしても、運営者が秘密鍵や資産管理をしていないのでユーザー資産にはなんら影響がありません。
製品版であるmijin
2015年9月にテックビューロ(現テックビューロホールディングス)社により発表されたNEMのプライベートチェーン製品「mijin」です。2016年5月に新型コアエンジン「mijin v.2 (Catapult)」が発表されました。2018年5月には一般公開を開始しています。
Catapultはプライベートチェーン版として一定の利用を経た後にパブリックチェーン版であるNEMに実装されることになっており、現在のパブリックチェーン部分であるNIS1(NEM Infrastructure Server)からNIS2(Catapultバージョン)に移行すべく開発が進んでいます。
現行「NIS1」の問題点
一般的に暗号通貨はオープンソースプロジェクトであるべきとされています。NEMクライアントはオープンソースであるものの、NIS1はクローズドソースなのです。
クローズドソースであることに技術方面の人々が難色を示していたことがありましたが、その部分についてはそうなのかもしれないと思っています。一部の噂ではその理由により海外某大手取引所が上場を拒否したという話もあります。
しかし、CatapultであるNIS2では完全なオープンソースになり、そういった面でも大きな一歩を踏み出すアップデートになることは間違いありません。また、プライベートチェーン版であるmijinもオープンソースとエンタープライズ・ライセンスのデュアルライセンス提供を開始する予定となっています。
なぜNIS1がクローズドソースだったのかの理由は定かではありませんが、開発の初期段階から容易にコピーされないための策だったのかもしれないとポジティブに捉えるなら、NEMの存在感が発揮されるのはまだこれからだと思わされます。
NEM財団評議員でNEMberにも馴染みの深いジェフさんと個人的に話をしたところ、NIS1はとても優れたコードであることは強調されていました。
Catapultの開発状況
開発状況はGitHubで確認できます。
バージョン(マイルストーン)にコードネームを付けることで段階的に進んでおり、2019年10月現在、Alpaca→Bison→Cow→Dragon→Elephantと進みました。
そして最終段階である「Fushicho(不死鳥)」まで来ています。コードネームはツイッターアンケートで投票により決まりました。最後に日本語のコードネームが決まったことは、熱心な人ほど感慨深さがあると思います。
2019年内に、
・ブロックエクスプローラーのテストと完成
・デスクトップウォレット及びモバイルウォレットのテストと完成
が予定されており、
2020年Q1にテストを完了させて、いよいよパブリックローンチへというのが最新のスケジュールです。
CatapultでNEMの何が変わるのか?
処理速度
巷ではNEMがCatapultを搭載すると「秒間3000~4000件ものトランザクションを処理できるようになるから凄い!」と書かれている情報を多く目にしますが、それは全て間違いで、その数値はパブリックネットワークを使わないプライベート版の場合の数字になります。
パブリックでもそのような大きな処理に対応するのは物理的に可能だということですが、そうするとより強力なノード環境が必要になることでノード運用者の負担が大きくなり過ぎ、運営意欲が低下してしまう恐れがあります。
そうすることでノードの分散化が広がりづらくなりますので、足元のしっかりした分散型ネットワークを構成していくには、まだ妥当な策とは言えないと思います。このことはコア開発者らが語っています。
さらに言うと、それだけの処理能力を備えるためにノードに高い環境的条件を突き付けたところで、実際に秒間数千件ものトランザクションが発生するネットワークになっていないのはおろか、現実的な見込みさえなければあまり意味がありません。
巨大な工場を作ったところで、維持費をペイし利益がでるたくさんの受注がなければ、ひたすら損するだけなのと同じなのです。
XEMの市場価格が高くなればよくない?という考え方もありますが、ネットワークが使われないのにXEM単価が独り歩きで高騰したところで、それは長続きしない不安定な状況となり健全とは言いにくいので、そこを目標にするのは良くありません。
現在、1秒間で2件のトランザクション処理に対応していますが、Catapultではそれ以上にはなることはなるようです。
しかし、これまで1分間で100件を超えるトランザクションでさえあまり発生していないことを踏まえると、NEMネットワークが使われる機会が増えるにしたがって、スケールしていくことが現実的ではないかと思われます。
Catapultはパブリックチェーンにおいて「現在よりも多くの処理に対応できるようになる」が「秒間3000~4000件もの処理は対応できない、むしろまだ必要ない」というのが適切な表現となります。
新機能
これら5つの新機能を我々は知っておけばいいかなと思います。
アカウント制限
許可したアドレスからの送信だけ受けるとか、受信したくないアドレスをブロックリストにして拒否することができます。また、許可したモザイクトークンが添付されている時だけ受けたり、ブロックリストにしたモザイクを含んだ送信を拒否することもできます。
必要な相手からのトランザクションのみ許可すると、スパム送信や不要なエアドロップを防ぐこともできます。
また同様の考え方でモザイク制限というのもあります。送信する相手があるモザイクを保有しているか否かを判定してトランザクションを作れるものです。これを例えば会員システムで応用することで、相手が会員なのかどうか、会員のどのランクなのか、そういった判別が可能になります。
ネームスペースとモザイク
誰でも簡単にNEMブロックチェーン上でモザイクと呼ばれるトークン(アセット)が発行できますが、まずネームスペース(苗字みたいなもの)を取得する必要がありました。
NEM自体も同じ構成で「NEM」がネームスペースで、「XEM」がモザイクです。Catapultではそれらが分離(任意でセットにすることも可能)されます。
共にレンタル期間が1年単位だったのが、自由に期限を設定できるようになり、モザイクは期限切れのない設定も可能になります。
また、これまでレンタル手数料は固定で変更の際はフォークが必要でしたが、ダイナミックレンタルフィーというものが実装されることにより、レンタル料金がNEMネットワークの活動と共に変動するようになるんだとか。
その他、ネームスペースのエイリアス機能を使えば、任意のアカウントやモザイクIDに取得したネームスペースをリンクさせることで、長いアドレスが覚えやすくなり、またモザイクを認識しやすくなり、管理や送金作業の効率化につながります。
NEM財団、次期バージョン「カタパルト」でのネームスペース関連新仕様を説明
マルチレベル・マルチシグネチャ
マルチシグネチャ(マルチシグ)というのは、あるアカウントから送金をするとして、例えば3名の署名者アカウントのうち2名が署名する(2of3)ことで送金が行われるもので、ここまではNEMにすでにある機能です。
これがマルチレベルになることで最大3階層までマルチシグが実行可能になります。
例えば…予算要求
技術部が予算を要求→経理部が承認→社長が承認、この3つの層(レイヤー)の署名が揃い承認が降りて、はじめて予算が送金される…という多段管理が実現できます。
アグリゲートトランザクション
複数のトランザクションを1回で済ませることができるものです。この機能が追加されることでトランザクションが多様化され、NEM活用場面が幅広くなることが期待されます。
例えば…エスクローサービス
クラウドソーシングサービスでは、発注者が納品後に料金を払わず逃げる、受注者が料金を受け取ったがゴミデータを納品した、という不正取引を防ぐために、中間企業が仲介手数料を上乗せして、仕事が完了するまで料金をいったん預かるエスクローサービスというものがあります。
アグリゲートトランザクションが活用されると、その仲介をなくすか役割を軽減して両者の取引を安全に済ますことが可能になり、本来なら受発注者の当事者間で必要ではなかった仲介手数料を節約することもできます。
※ファイル受け渡しなどオンチェーン以外で解決すべきことはあります。
また、他者が送信する時の送金手数料を第三者が代わりに負担することも可能になります。
例えば…ブロックチェーンゲーム
モザイクトークンが使われたDappsゲームをするとしても、ユーザーはそのトークンをゲーム内で送信する際に、送金手数料として必要なXEMを保有していなければなりません。
そのためだけに新規ユーザーに取引所でXEMを購入させるのはゲームをはじめる弊害になりかねません。同様に、ゲーム運営会社がXEMなどの暗号通貨を直接販売するにしても、国に仮想通貨交換業として登録しておく必要があり、そのためだけに難関である交換業を取得するのは現実的ではありません。
アグリゲートトランザクションでは、その送金手数料をゲーム運営会社などが代わりに負担することで、ユーザーはNEMの知識がなくても純粋にパブリックネットワークを介したブロックチェーンゲームを楽しむことが可能になります。
クロスチェーンスワップ
NEMが「パブリックチェーンとプライベートチェーン、双方の利点を提供する強力なブロックチェーンソリューション」として、いわゆるブルーオーシャン戦略を掲げてきた強みにさらに磨きがかけられるのがここではないかと思います。
クロスチェーンスワップは、トランザクションに第三者(例えば取引所)が入ることなく、異なるブロックチェーン間での暗号通貨交換を実現可能にします。
プライベートチェーンmijinが使われたサービスで発行されたトークンと、パブリックチェーンNEM上のトークンを交換すること(アトミッククロスチェーン交換)が可能になり、また他社(他者)同士のプライベートチェーン間での交換までサポートされます。
さらに、XEMとETHといった異なるチェーン間でのトークン交換も実現可能です。
例えば…ポイントサービス
自社ポイント(ロイヤリティ)サービスとしてトークンを採用するとしても、パブリックチェーンだと、ポイントを付与するのにも、ユーザーからポイントを受け取るのにも、いちいち送金手数料が発生するのであまり現実的ではないと考えられるかもしれません。
その判断をした企業は、プライベートチェーンを採用し自社ネットワーク内だけで会員ポイントを循環させると思います。
しかしいずれ、ユーザーが貯めたプライベートチェーン上のポイントを、パブリックチェーンで発行されたXEMなどと交換可能とさせたくなったり、他社のプライベートチェーン上のトークンとの相互交換を推進する団体に加盟してサービス拡充したくなるかもしれません。
クロスチェーンスワップでそれらサービスを現実にすることができます。
NEMデベロッパーセンター
プログラミング言語
性能向上のためにコアの部分の開発言語がJavaからC++へと移行されます。尚、Catapultを使ったアプリケーション(例:FiFiCやnemlogなど)が使うSDKはTypeScript/JavaScriptやJavaなど複数の言語用のものが開発されています。
Catapultではコンセンサスアルゴリズムが変わる
Catapult移行後には、これまでのPoIというアルゴリズムが見直された改善版である「PoS+」に変わります。
PoIからPoS+にパワーアップして変わる
計算量が多くネットワーク参加者が膨大になり過ぎると弊害も予想されるPoIを「シンプルなPoS」に変更し、ネットワーク貢献条件に応じて、さらに手数料報酬が得られる機会をプラスアルファする仕様になります。
その新しいアルゴリズムは、PoS+となります。
現在のPoIの特徴は、
1回に1000XEM以上の送金
既得バランスが10000XEM以上のユーザーからの入金
30日以内(43200ブロック以内)の取引である
これらに基づいて重要度スコア(インポータンス)が計算され、スコアが高いほどハーベスティングで得られるブロック報酬に「当選」する確率が高まる点です。
アルゴリズムの基本をPoSにするということは、まず基本的なところが上記で「XEMの保有残高」のみになると思われます。それ以外の3つの要素は「保有だけでなく、ネットワークを使う(手数料を支払う)ことによる貢献」によるスコアリングとなりますので、それらの部分に魅力を感じた人もいると思います。
しかし現実的に考えて、理念として良くても、現在のPoIロジックによるスコアリングの優位性が実感できるほど機能しているのかどうかは、正直言って微妙なところもあるのではないかと思います。
プラスアルファの部分で補う
単なるPoSではない仕様にするのが「+」の部分になります。具体的には次の3つのスコアで評価されるようになります。
1. コインの保有割合(ステークスコア)
コインをどれだけ保有しているかどうか。ここはPoIやPoSの基礎となる部分です。
2. アカウントのアクティブさ(トランザクションスコア)
一定期間でどれだけネットワークを利用しているか、すなわちどれだ手数料を支払っているかどうか。
3. ノードを運営していること(ノードスコア)
そのままです。そのアカウントがノードを運営しているかどうか。
また、2と3を合せて「アクティビティスコア」と言います。
このロジックが採用されることでのメリットは、保有残高の少ないアカウントでも多くネットワークを利用(送金手数料を支払う)したり、ノードを運用することで、、現在のPoIのハーベスティングよりは報酬を得られる機会が増すような設計になっていることです。
アクティビティスコアはステークスコアが多いほど効果が少なくなるようです。保有数が1万XEMからだんだんと影響度が小さくなり、20万XEMを越えるとほぼ効果がなくなるのだとか。
こうなることで、たくさんXEMを保有して何も手数料を使わないハーベスターよりも、保有数は20万XEM以下だが頻繁に手数料を支払っているハーベスターがより評価され、報酬の獲得機会が大きくなる点が期待されます。
もしかしたら、PoS+にアップグレードすることで、NEMの基本理念的な部分でもある、
世間一般の人に力を与えるため、公平な機会を与えること
がより現実的になるような気もしており、実際にどのように改善してワークするのか楽しみです。
NEM Catapultの新しいコンセンサスアルゴリズム「PoS+」とは何か?
ハーベスティングで変わるところ
Catapultではハーベスティング面で次のような変更があります。ノード運営メリットやネットワークの自律化がより盛り込まれてるのではないかと思います。
ノードオーナーが報酬割合を設定可能に
Aさんの運営するノードで受益率10%と設定した場合、受益者に設定されたB氏は報酬の10%を得られるという設定です。Aさんのノードが選ばれてブロック作成された際の報酬が100XEMだったら、Aさんに90XEM、Bさんに10XEMという設定が可能になります。
これは将来的にスーパーノード制度をなくしても良い状況になった時に、ノードの運営メリットを上げるための施策だと思われます。
ノードに委任されたハーベスターの重要度の合計も加味
あるノードに委任されたハーベスターたちの重要度の合計が集積され、そのノード上でのブロック生成の総確率が向上するようになるようです。
重要度スコアの高いハーベスターが集まっているノードがより評価されるような仕組みのようですので、これもまたノード運営メリットの1つになりそうですし、総合力の高いノードに委任ハーベストしたくなる作用も働きそうですね。
永続的委任ハーベストアンロック(PDHU)
委任してるノードが再起動したりでネットワーク切断すると、ハーベスターは再接続しないと委任無効になる問題がNIS1にはあります。 Catapultでは永続的委任ハーベストアンロック(PDHU)の実装で解決され、ノードがオンラインになった時に自動で再接続されるような設定が可能になるようです。
Catapult後、NIS1はどうするか?
Catapultでは新しいチェーンになることから、ビットコインの分裂のようにNEMの分裂を心配する人もいるかと思います。しかし、NIS1が並行していたとしてもいずれにせよ使われないチェーンとして劣化していく可能性は高いです。
当初の提言書では移行後に、
2:CatapultもNIS1もONにし2つのチェーンを生かす(2チェーン法)
どちらがいいでしょうか、という問い掛けがありましたが、法的問題やデータ互換性など様々な観点から後者になることが最有力視されています。まだ具体的な方法などを含め確定はしていませんが、XEM保有者はある時点(ブロック高)を基準とした残高と同数の「新通貨」を得ることになりそうです。
簡単に言うとこのような構図になります。
●新NEM(Catapult)は新しいネットワークとしてブロック1から始まることになる(残高など一部のデータは引き継がれる)
新通貨が出来るということは、「XEM」という通貨単位は別のものになるのは確実です。また「NEM」というプラットフォーム名の変更までも予想されます。
NEMという3文字を含むものなのか、全く違う名前なのか、コミュニティに選択権が与えられるのか、という点もまだ未定です。Catapultの方に「NEM/XEM」を引き継がせ、古くなった方をリブランドする、というのも不可能ではないらしいですがさて。
また、新通貨が発生するということであれば、取引所の新規上場が必要になってきます。この問題は移行委員会がいくつかの取引所とディスカッションを行い、Catapult移行時には3~5の取引所での上場が準備OKになることを目標として働きかけているようです。
Catapultマイグレーションに関して2(2019年10月3日)
Catapultマイグレーションに関して1(2019年9月16日)
いつCatapultへ移行されるのか?
Catapultについて大まかな概要はこれで理解いただけたとして、ではいつパブリックチェーンのNEMが所謂NEM2になるのか?という話題です。
どんどん遅れてきたローンチ
はじめは2018年中のローンチ予定だったと思いますが、それが2018年以降になり、2019年中を目標でようやく具体的な計画が行われ、現在は2020年Q1(1月~3月)というところで落ち着いています。
なぜそのようにして遅れて来たのかというのは、簡潔にまとめるなら、Catapultを進めたいコア開発陣とマーケティング重視姿勢や他プロジェクトへの注力が目立った旧財団の一部メンバーとの意思や目標の不一致ではないかと分析しました。この件は熱心なNEMコミュニティに旧財団陣営への憤りを感じさせることになりました。
しかし、2018年12月の選挙にて財団は新しい体制となり、現在ではCatapult第一主義そしてプロダクト特化型へと組織改革が前向きに進められています。まずCatapultに移行しなければ、NEMの前進が加速できないことにようやく気付いたようです。
あと、NEMは財団が作って運営しているプロジェクトではないのに、コアはなぜ財団を無視して強行しなかったのか?という疑問もあるかもしれません。
元々Catapultは機能面に関しても、コア開発者、テックビューロ、NEM財団の三者が共同で決定していくことになっていたので、旧財団の一部で蔓延っていた雑な印象のある運営問題、複雑な人間関係などが絡まって結果的に遅らされてしまってた、という理解でいいのかと思います。
ロードマップ
ロードマップというのはいついつにどういうことをやるのか?という計画表です。
冒頭に書きましたが、Catapultのパブリックローンチは2020年Q2(4月~6月)に予定が変更されています。
Catapultへの移行
最後になりますが、Catapult(NEM2)への移行はボタン1つで全てが瞬時に切り替わるような簡単な話ではありません。
移行に直面した時に具体的にどのようなことが行われるのか、ノードやハーベスティングを行っているユーザーに限らず、我々はどのようなアクションをしなければいけないのか、などまだ完全に決まっていないこともあります。
税金が強制的に発生するような形式になってしまうのかどうかもまだ専門家からの見解は出ていませんし(非専門家の個人的な見解ですが新通貨を得るだけで課税されるようなことはない可能性高そうです)、どの取引所が移行時にどのように対応するのかなども未定です。
そのようなことから、これからまだ時間をかけて解決し決定していかねばならないプロセスがいくつもあることは覚えておいた方がいいのではないかと思われます。
正しい情報を収集しながら、座して待つ。
それが我々にとって最善ではないでしょうか。
開発者インタビュー
過去に和訳したものを紹介しておきます。とても貴重な「現場の声」です。
NEMコア開発者
その他CatapultやNEM開発者
著者プロフィール
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