”以前のNEM財団はもう存在しません”…その今後は?

 最終更新日2019/02/14 公開日2019/02/14    この記事は 約16分 で読めます。

コインテレグラフのニュース和訳です。記事全体としては中立な立場で、外野側のネガティブな反応とプレイヤーである財団のポジティブな姿勢の両方が書かれています。

記事の中には「?」と思う部分もあったので、※印の部分に関して黄色の枠で僕の意見や見解、補足をささやいています。そちらもお読みいただければと思います。

結論から言えば、NEMを取り巻く環境は着実に強くなっているので、何よりもこれからは実績を重ねて、世の中に目に見える形で存在感をアピールし、人々の生活に紐づいたブロックチェーンプロジェクトとして根付かせる必要を強く感じさせられるものでした。

では、読んでみましょう。

"以前のNEM財団はもう存在しません"…その今後は?

NEMコミュニティへ行われた発表の結びの言葉の一部として、NEM財団の役員会と評議会の意見を代表するNEM秘書室は、「皆さんへ最後に一言」の中で、コミュニティメンバーが知っているかつてのNEM財団は「もう存在しない」と述べました。

この発表は、彼らが透明性についての責任を果たすために行われたもので、数々のセンシティブな問題を公表しました。その中で、財団は深刻な財政的な問題に直面していること、そして以前の組織構造が失敗に終わったことを認めました

発表によれば、NEM財団の現体制が2019年1月1日に発足した後に財務監査が行われ、それによってXEM(NEMブロックチェーンプラットフォームの固有通貨)と法定通貨の資産が枯渇しつつあることが判明しました。

NEM財団の財政状況は、2019年1月1日の時点で、準備金にひと月分の運営資金しか残されていないほど悪化しています。

発表が行われて以降、心配したコミュニティメンバーや投資家たちは、事の真相を確かめようと役員会への質問を投稿しました。

情報が散発的に明らかになる中で、アレクサンドラ・ティンスマンNEM財団現代表は、特に発信力の強いコミュニティメンバーであるJelin1984に対して、さらなる情報を公開する前に、法的にあらゆる問題や展開に備えておく必要があることを認めました。

「事態がどれほど混乱を招いているかを私は理解しています。そして私たちはあらゆる情報を皆さんとコミュニティに適切なタイミングで届けるべく努力をしています。そのことをご理解ください。

そのためには、私たちが法的に適切な方法で情報を共有できるよう、普段以上の段階を経なければならないのです。これには時間がかかります。」

NEM財団の背景

NEM財団は、独創的で企業レベルのブロックチェーンプラットフォームであるNEM(XEM)ローンチの2年後にあたる2017年に発足しました。シンガポールに拠点を置き、NEMの開発(※1)とプロモーションを進めています。

※1…NEM財団がNEMそのものの開発を行ってるわけではありません。正確には開発支援や促進です。

財団のウェブサイトによれば、財団の唯一の目的とは、あらゆる産業や機関に対して国際的なレベルで、NEMブロックチェーンの技術的プラットフォームを紹介し、その教育とプロモーションを行うことです。

NEMの共同創立者であるロン・ウォン氏はNEM財団の創立者であり、2018年4月に退任するまで初代代表を務めました。

2018年4月以降、クリストフ・ヴァン・デ・レック氏が暫定代表を務め、その後12月14日に役員会と評議会のメンバーと共に、アレクサンドラ・ティンスマン氏が投票によって代表に選出されました。

有資格のNEM財団会員メンバーのみがNEM評議会選挙で投票を行うことができます。資格を得るためには、21歳以上で会費を払い(年間、個人は50ドル、24人以下の企業は500ドル、25人以上の企業は1000ドル)、身分証明登録(KYC)の要件を満たさなければなりません。

2018年の代表選出選挙もスムーズには進まず、そのことは選挙後のメッセージで当時の暫定代表であったクリストフ・ヴァン・デ・レック氏も認めています。

202人の会員アカウントしか投票を行うためのホワイトリストに認定されず、会員申請が上手くいかなかった原因のうち、もっとも多かったのがKYCでの問題と不正な入会申請でした。人的ミスによって却下された入会申請もあり、登録サイトが新規申請のサインアップを受け付けられなかったという問題もありました。

NEMのMediumアカウント(選挙ガイドの大部分が載っていました)は投票プロセスのさなかに停止されたり、一部のメンバーはNano wallet(NEM wallet)の問題で手動で投票(※2)せざるを得ない事態も起こりました。

※2…ウォレットには簡単に投票できる機能があります。本件の詳細は把握しておりませんが、それが一部の環境でうまく機能せず、投票用のアドレスに直接投票する必要があったのではないかなと思われます。投票は各項目に設定されたアドレスに0XEM(送金手数料は別途)を送信する形になり、今回はホワイトリストに登録された有資格者のアドレスからのみ投票を受け付ける形になっていました。

上記の問題などが原因で、202人の有資格者のうち、148人しか投票を行うことができませんでした。

NEM財団はNEMブロックチェーンプラットフォームとは別個の団体として運営されている、とティンスマン氏が述べたと報じられていますが、コミュニティメンバーのDan_Vが指摘するように、 NEM財団の行動がXEMの価格に影響を与えていることは否定できません。

「私は財団がNEMそのものではないことは理解しています。しかし、財団はNEMを鈍らせる何かしらの影響力を持っているように思えます。

その原因が内輪のもめごとや評議員たちのプロらしからぬ振る舞いであるか、NEM全体の方向性の欠如であるかに関わらず、そう感じられます。」

2019年1月31日に行われた発表によって、一日でXEMの市場総額は6500万ドルも下落(※3)しました。

※3…NEM財団が破産という「歪曲報道」の影響が大きかったように思います。世の中にNEMをNEM財団が運営するプラットフォームなんだと勘違いされている証明でもあったかと思います。しかし、そういう認知になっていたとするならば、旧財団の落ち度でもあり、我々NEMコミュニティの発信力不足であったことも認める必要はあると思います。しかしながら、もし財団が破産して解散したとしても、コアとなる開発者らがそこに居るわけでもないですし、ファンドのすべてを財団が管理してるわけではないですし、NEMはオープンソースプログラムですし、NEMそのものにとってのダメージはごく軽微です。

NEMがそのような深刻な財政難に陥った経緯とはどのようなものでしょうか?

発表では、財団の現在の財政問題の原因について、表層レベルではありますが触れられています。

主要なスタッフ間で目標の統一がとれていなかったこと、業務が重複してしまっていたこと、成功の評価基準が一貫していなかったこと、資金についての説明責任がほとんど果たされていなかったこと、投資に対するリターン(ROI)が疑わしいことなどが挙げられました。その結果として、財団はひと月当たりで900万XEM(約35万ドル)を消費していました。

2018年1月以降、全体で暗号通貨市場を数十億ドルも下落させている長期間にわたる暗号通貨の弱気相場である、“Crypto Winter(暗号通貨の冬)”も別の理由として提示されました。しかし、コミュニティメンバーの間には責任を追及する論調が多くみられます。

Jelin1984はかつてのNEM財団代表であり共同創立者であるロン・ウォン氏を、資金の一部を使ってProximaXと呼ばれる別のプロジェクトを立ち上げたと発言しました。

この発言は、NEMとProximaXが非常に緊密な提携関係を継続しているため、複雑な問題です。NEM財団がリリースした追加情報の中で、8000万XEM(約310万ドル)が、2017年12月から2019年1月にかけて使われていたことも明らかになりました。

ウォン氏はその期間のうち4か月間、財団の代表を務めていました。ティンスマン氏とウォン氏の両者とも、その告発を否定しています。

別のブログ記事で、ウォン氏は一連の問題について述べています。

「代表在任期間中に、私はNEM財団評議会の残りの委員たちと慎重に資金を管理していました。私たちは2017年に向けて使用が承認された資金の50%しか要求しませんでした。」

ティンスマン氏はコミュニティフォーラムにおいて、直接その発言について言及しました。

「ロン氏を資金着服で告発している人などいません。この誤報を広めるのはやめてください。ロン・ウォン氏は、NEMローンチの2年後の2017年初めに発足したNEM財団の共同創立者であり初代代表です。

ロン氏は2018年4月にNEM財団を去りました(※4)。それ以来、彼はProximaXというプロジェクトに代表として尽力しています。NEM財団はロン氏とProximaXの将来的な成功を願っています。」

※4…なぜ突然辞任する必要になったのか、同時に当時の副代表で現NEM財団評議員ジェフ・マクドナルド氏も辞任することになった真の理由はよくわかっていません。何かしらトラブルがあった可能性は否定できませんが、ロン氏はNEM財団にはもう一切関わっていないこと、技術者でもあるジェフ氏に関しては、昔から献身的にNEMの普及活動を続けていることは強調しておきます。

Jleonyという別のコミュニティメンバーは、財団のスタッフが個人的な娯楽と利益のために資金を使った(※5)と発言しました。

「悲しいことに、NEM財団のスタッフはプロジェクトの成功に関係のないところで、資金を個人的な娯楽と利益のために使っていました。」

ここでもやはり、ティンスマン氏はその発言に対応せざるを得ませんでした。

それは事実ではありません。個人的な娯楽のために資金を流用した者はいません。2017年と2018年には使用された資金についてのすべてを把握する効果的な方針が実施されていませんでした。

しかし、私たちが持っている記録から、資金は主にマーケティング、イベント、給与、旅費、研修に使用されていたことが分かっています。

私たちは2018年から、開発者たちとすべての監査に関して、完全な透明性をもって情報を共有してきました。だからこそNEM財団の再編成が直ちに実行されたのです。

新しい方針と製品重視の構造へ移行したことで、資金の使用用途と割り当てについて、コミュニティに完全な透明性を提供することができます。」

※5…これだけでは根拠や証拠がなさすぎる証言ですが、旧財団の経理は決して理にかなったものであったワケでもないようです。私用や悪用ではなくとも、市場価格の暴騰が組織としての金銭感覚を麻痺させていた可能性は少なからずあると思います。これは他の通貨プロジェクトに関しては表立ってないだけで共通する部分もあるはずです。NEMはCC盗難事件から風評被害を受け続け、暗号通貨の市場価格が冷え込みまくった中でのこの新NEM財団の改革表明は、どんなに打ちのめされようが大義を貫くのための継続意思を表明しているともとれるので評価されるべきでしょう。

「私たちはこれを解決することができます」

良いニュースとして、発表の中では、NEM財団の現在の財政と運営上の問題は解決可能だと書かれています。

それを達成するために、財団の運営方法、そして運営上のフォーカスについて、彼らは数々の大幅な変更を提案しました。

「ここが私たちのスタート地点になります。私たちはNEM財団の使命と運営構造を完全に作り直しました。私たちは組織を刷新しゼロからスタートしようとしています。

それによって、新しい体制の下での新しいフォーカスと、強力なコミュニティに貢献して、それを支援するために存在する新しいNEM財団が誕生します。」

財団は、大きな自由裁量を与えられていた地域代表を置く、分散型のプロモーション組織から脱却し、より伝統的な製品重視の組織体系へと移行しつつあります。

財団のスタッフと契約業者は、今後は7人のプロダクト責任者のうちの1人の下に所属することになります。7人の責任者とは、最高技術責任者(CTO)、最高製品管理者(CPM)、最高財務責任者(CFO)、最高ビジネス開発責任者(CBDO)、最高執行責任者(COO)、最高マーケティング責任者(CMO)、最高売上責任者(CRO)となります。

透明性と説明責任を達成すべく、責任者たちは評議会とコミュニティに対して直接、評価基準を報告し、ROIを提供しなければなりません。使われる資金はすべて、CFOを経由して配布され、会計の基準に準拠することになる、と発表されています。

財団は大幅な予算カットも行う予定です。その中には900万XEMというバーンレートを60%減らすこと、すべての提携とプロジェクトを今後の通知があるまで保留とすること、150人のスタッフを計画的なレイオフによって削減することなどが含まれています。

こうした改革はすべて、財団をマーケティングや研修などのプロモーション中心の組織から、より伝統的な、販売と製品開発中心の中央集権的なビジネスモデル(※6)へと移行させる取り組みの一部です。

※6…元々財団は中央集権的な団体です。より中央集権的にすることで組織としての統率力が上がることが予測されます。さらに、NEM関連製品に特化した活動方針への転換はNEMエコシステムを外側に向けて広げ、早期に実需を生み出すためにはとても前向きな姿勢です。しかしながら、NEMそのものは非中央集権的なオープンソースプロジェクト(これまで一部非公開であったソースコードも、Catapultで完全にオープンになる)ですので、「NEMは中央集権な通貨だー」という声は何もわかっていない発言になるので注意が必要です。

コミュニティへのプロポーザルを通じて、つまりコミュニティに不足分の資金を穴埋めしてくれるように依頼する(※7)ことによって、追加で1600万XEMを資金調達するという計画も明らかになっています。

※7…決してこれはコミュニティの保有するXEMから不足を補って…というものではありません。NEMには誕生時に隔離されたファンドアカウントがいくつもあり、そこにはまだ市場に流通していないXEMが大量にあります。そこから不足分を拝借してもいいでしょうか?というのをコミュニティ(=XEM保有者=投票権のある既得1万XEM保有者)に伺いを立てているものです。

NEM財団の代表アレクサンドラ・ティンスマン氏は、再編成と必要資金についての完全版報告書は準備の最終段階にあり、コア開発者と法律チームがプロポーザルと監査の確認を行う時間が取れ次第、コミュニティに対して公表される予定(※8)である、としています。

※8…プロポーザルとは、コミュニティに対して「こうこうこういう提案があるので」と、投票にて承認を求めるための資料になります。財団が求める資金を得られるには、我々コミュニティの投票(PoI投票)で可決承認される必要があります。

原文:‘The NEM Foundation You Knew Before Is Gone,’ What Is Next

 - NEM(ネム) ,

  著者プロフィール

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WEBデザイナー/ディレクターとしてのリーマン生活を脱却し、FX専業(兼業?)トレーダーをやりながら、MT4のEA/インジケーターの開発やFX関連情報サイトを運営していました。

今ではもう暗号通貨に絞って福岡を拠点に隠密活動しています。主にNEMをガッツリ、EthereumのDappsは趣味程度に。10年近いトレーダー経験を活かし、暗号通貨相場のテクニカル分析もやってます。

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