身分証明、IoT、スマートシティのためのブロックチェーン~NEM財団ジェフ・マクドナルド氏の講演内容

 最終更新日2019/07/05 公開日2019/07/05    この記事は 約6分 で読めます。

2019年5月29日~31日に台北で行われたInnoVEX 2019というブロックチェーンフォーラムの講演者の一人として、NEM財団の共同創立者で評議員であるジェフ・マクドナルド氏が登壇した時の内容が記事になっていましたので和訳しました。

記事本文中ではNEMという文字はでてこないのですが、当然、彼はNEMを念頭に置いてしゃべっていると思って読んで良いと思います。

スピーチの中でマクドナルド氏は、IoTなどの様々なユースケースとブロックチェーンを組み合わせることで、スマートシティをさらにスマートにしていく方法について概要を示しました。

金銭的な価値を超えて

マクドナルド氏は、ブロックチェーンの最大のメリットの1つは、1つのものを一度以上送ることを不可能にしている仕組みだと考えています。

このことは暗号通貨だけに限定されたものではなく、情報やデータなどにも当てはまります。この仕組みは基本的には、ブロックチェーン上での真正性の証明書として機能するため、デバイスのアクティベーションキーとして使用することが可能です。

ブロックチェーンのもっとも有名なアプリケーションは暗号通貨に関するものです。誰もが独自の暗号通貨を作ることができますが、ブロックチェーンはさらに、かつて存在しなかった新しいアセットクラス(資産の種類や分類のこと)を作成することを可能にします。

そうしたアセットクラスは必ずしも金銭的な価値を持つものではありません。ブロックチェーンは証明書の発行、投票、身分証明などに使用することが可能だからです。

身分証明の要素について言えば、身分証明とは人間に限定されないということは覚えておかなければなりません。個々のデバイスはブロックチェーン上で独自の識別子を持つことが可能であり、その識別子はアクティベーションキーとしても機能します。

ブロックチェーン上のデバイスは投票を行ったり、暗号通貨を送信したり、自身に関する証明書を持つことが可能です。IoTとブロックチェーンはお互いを必要としており、その両者の組み合わせがスマートシティへの第一歩となります。

スマートシティに向けた共生

IoTデバイスはブロックチェーンの提供するセキュリティを必要としています。特に、現在IoTデバイスがハックされている状況を考えると、一つのアカウントの安全性を確保する同じ暗号通貨とネットワークは、他のデバイスの安全性を確保することも可能です。

スマートシティでは大量のIoTデバイスが使用されるため、そのセキュリティを、利用可能できる必要な手段によって確保しなければなりません。

現状で言えば、ブロックチェーンをセキュリティ対策として活用し、IoTデバイスが意図されたとおりに機能するようにして、犯罪目的に使用されないようにする必要があります。

スマートシティはただのIoTとブロックチェーンの組み合わせではありません。そこには、スマート市民とスマート投票も必要です。

スマートシティは静的なものであってはならず、投票によってスマートコントラクトを管理し、そのスマートコントラクトが今度はIoTデバイスを管理しなければなりません。このようにスマートシティのすべての要素を接続する必要があります。

ブロックチェ―ンによって、セキュリティレイヤーが追加されることで、スマートシティはさらにスマートかつ安全なものになります。

スマートシティでのブロックチェーンの応用には、土地の管理などを含めた様々な可能性があります。土地の区画を管理・統制する仕組みを決定する権利を、複数の人々が持っているコミュニティにおいて、ブロックチェーンはその作業に必要なソリューションとなる可能性があります。

マクドナルド氏はユースケースの例として、最大のネイティブ・アメリカンの共同体の一つであるクロウ族(アプサロケ族)が、ブロックチェーンのアプリケーションを使用して、身分証明、財産の所有権、投票、通貨などを取り扱っている方法を挙げました。彼らはそれらすべてを、一つのアプリを使うことで行っています。

2018年にクロウ・フェアで電子政府システムのデモが行われた時の記事

米国でNEM(ネム)のブロックチェーンを使用した電子政府システムのデモを実施

分散型かつ体系的

マクドナルド氏は、多くのブロックチェーンが、ユーザー主導か開発者主導かに関わらず、ユーザーと開発者の間での意見の相違に直面していることを指摘しました。

コンソーシアム主導のブロックチェーンには多くのユースケースがある一方で、それらはしばしば、スマートシティのアプリケーションには適さない可能性のある、閉鎖的なエコシステムに限定されます。

彼のアイディアは政府主導のブロックチェーンを使用するというもので、彼の考えでは、それは都市内の要素を統合し、それらの要素が相互接続することを促すといいます。

現在、スマートシティでは様々なブロックチェーンが様々な目的に対して使われており、この仕組みは、誰もがどんな目的で使用することもできる、融合した政府主導のブロックチェーンほどはうまく機能しない可能性があります。

また、政府主導のブロックチェーンは、スマートシティでブロックチェーンが直面している最大の問題の一つを解決することにもなります。つまり、分散型ではあるものの、体系的ではないという問題です。

政府主導で体系的なブロックチェーンを作り上げることで、正しい政策、法律、規制をそのブロックチェーンを中心に作り上げることが可能になります。

スマートシティの未来は明るいものであり、IoT、ブロックチェーン、スマートコミュニティの組み合わせがその主要な構成要素となります。それらを共に活用することで、スマートシティを実現することが可能になるのです。

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