ブロックチェーンを活用した、遺失物へのデジタルソリューション
最終更新日2018/07/27 公開日2018/07/27 この記事は 約9分 で読めます。
2年前イタリアを旅行しているとき、その時2歳だった娘のSynneがお気に入りのぬいぐるみのGiaを失くしてしまいました。
4インチの大きさの犬のぬいぐるみを失くしたせいで、娘はずっと泣きっぱなしで、私たちはサンタ・マリネッラの町を何時間も探し回り、会う人みんなに私の拙いイタリア語で、小さな犬のぬいぐるみを見なかったかと尋ねました。
この後何か月も、娘はGiaを失くしたことを嘆いて、みんなにどうしてイタリアでGiaを失くしてしまったのかを話しました。
幸運にもGiaは2番目のお気に入りで、生後6か月以来の彼女の本当の親友のであるKoalieはヨーロッパ旅行から無事に帰宅しました。しかし私はパラノイドになってしまいました。どこかに出かけるたびに、私はKoalieを失くしてしまうのではないかと心配していました。
かわいそうなKoalieは家に閉じ込められることになりました。私はインターネットでこのジレンマの解決策を探しました。
子供たちが物を失くしたことで傷ついてしまうという出来事を、他の親たちも経験しているはずだと考えたからです。しかし、私がノイローゼのようになって探しても何も見つかりはしませんでした。
LuxTagとの出会い
Consensus2018の会場を歩き回っていた数か月前、私はこのジレンマを解決できるかもしれないブロックチェーンの使用方法を発見して衝撃を受けました。NEMプラットフォームの展示を見ていた時、私はLuxTagのブースに遭遇しました。
彼らは忍者のような服を着た小さなペンギンのぬいぐるみを配っていました。子供たちへのお土産にうってつけのものだったので、2つもらえるか聞いてみました。無味乾燥な開発者のピッチを聞く準備をしましたが、製品とはペンギンの足の裏についたQRタグであると聞かされて驚きました。
そのタグをアプリでスキャンすることで、NEMブロックチェーンにその物体の情報をアップロードすることができ、デジタル形式で遺失物の管理を行うことが可能になり、さらには家族に伝わる財産の情報を今後の世代のために保存する手段にもなります。
LuxTagのアイディアは、共同創立者で技術顧問でもあるジェフ・マクドナルド氏の祖母が亡くなった際に生まれたものです。彼はこう説明しています。
だからジェフ氏は、LuxTagを立ち上げることでそうした問題を解決しようとしたのです。
LuxTagは2016年12月にソウル行われたピッチ会合で発足しました。彼らは5,000ドルを獲得し、それを使って会社を立ち上げました。その後NEMコミュニティファンドからも10万ドルを調達しています。
ここでは利害が衝突しました。というのも、マクドナルド氏はNEMコミュニティの著名なメンバーであると同時に、NEMの副代表でもあったからです。
そのような理由から、彼はNEMコミュニティ内ではマーケティングを行わないようにしました。現在、彼らは2社のクライアントを抱え、今後は主にサプライチェーンの分野で数十社のクライアントを獲得する可能性があります。LuxTagはNEMにとっても特に素晴らしい目玉商品になるとマクドナルド氏は説明します。
私はデモを操作することができましたが、タグのQRコードは私の想像していたものとは違っていたため、苦戦しました。Consensusのデモを見て、私は忍者を家に持ち帰って、娘たちがQRコードをスキャンして、彼らの名前をデータベースに書き込めるのだろうと想像していました。しかし忍者の人形に取り付けられたタグは作動しなかったのです。
私はLuxTagに連絡を取り、彼らは親切にも実際のネットワークで使用可能な新しいQRコードを送ってくれました。そうすると、私が想像していた通りに、メモや他の情報を追加できるようになりました。とはいえ、その仕組みは、私の子供のぬいぐるみすべてに使って、失くしても誰かが返してくれると思えるほど自動的なものではありません。しかし、そうした方向に向かってはいます。
しかし、リソースを多く消費するコントラクトを採用していることを主な原因として、LuxTagには制限もあります。つまり、LuxTagの人気が高まった場合、NEM版のCrypto Kittiesになってしまう可能性があるのです。
とマクドナルド氏は言います。
大きな成功とはどの程度の成功でしょうか?マクドナルド氏は、1日あたり10万件のトランザクションでも影響が出ると言います。しかし彼は、コンソーシアムチェーンやマルチシグネイチャーといった将来的な技術的改善が行われることを期待しています。
マクドナルド氏は、LuxTagを使えば子どもがお気に入りのぬいぐるみの居場所をいつも覚えておく手助けができる、という私の思いを共有してくれています。
と彼は言います。
突き詰めれば、LuxTagが開発された動機とは、「大切な物に永遠に続く財産」を与えるというものです。
子供がぬいぐるみを失くすのを防ぎたいとう私のワガママな願望を超えて、LuxTagの技術はギャップの橋渡しをする可能性があると私は考えています。つまり、流行の技術としてのブロックチェーンと、個人の消費者が使用することで直接具体的なメリットを得ることのできるブロックチェーンとの間のギャップを埋めることができるのです。
Soma
ブロックチェーン技術を使って高級品の追跡を行う会社には他にもSomaがあります。
CMOのJacob Andra氏とサンフランシスコのブロックチェーンエコノミックフォーラムで話をする機会があり、その際に彼は、Somaがいかにして、いわゆるHeimdallプロトコルを開発して、商品を最後まで追跡する変更不可能な記録を作成し、出自の正当性を証明するために所有権の記録を追加しようと試みてきたかを、私に説明してくれました。
Heimdallプロトコルを使用することで、正当性の証明記録、あらゆる時点の使用状態の写真、もしくはそのアイテムに関連する特記事項などを保存しておくことができます。ドラッグレースカーやクラシックカーの業界での私の経験を踏まえると、私はそれによって偽造が防げるか確信は持てません。
偽造者は書類化されたアイテムを作り上げたり、廃棄された車の書類を買い取ってそれをクローンの車のものとして流通させたりする際に、非常に創造性豊かな仕事をします。しかし、大切にしている車に思い出を残しておけるというのは素晴らしいことです。
私は自分のクラシックカーと共にレーストラックに乗っていた時のことを思い出します。私の車はBoston Stranglerというもので、70年代初頭からサンフランシスコの湾岸地域でレースカーとして走っていました。いろんな人々がアルバムを持ってきては、私に彼らの親戚や自分が子供のころに私の車の前でポーズをとっている写真を見せてくれたものでした。
Heimdallプロトコルのようなリソースの社会的価値は向上するかもしれませんし、経済的な価値も高まるかもしれません。未来の美術館が現代から受け継がれた面白い展示品を、それに関連する写真、メモ、情報付きでディスプレイしているのを想像することができます。
タイムカプセルがいつも面白いのは、人々はその中に物を入れますが、なぜそれを入れたのかの記録が添えられていないからです。30~50年後に開けてみると、そうしたアイテムは過去から来た奇妙な謎となっています。
もし、そうしたアイテムにストーリー、写真、動画が添えられていて、デジタル形式でなぜそれらが重要なのかが説明されていたらどうでしょうか?
そうした未来のアーカイブ用の技術が今では実現しており、それはブロックチェーン技術のアプリケーションの中でも最も消費者向けのものなのです。
著者プロフィール
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WEBデザイナー/ディレクターとしてのリーマン生活を脱却し、FX専業(兼業?)トレーダーをやりながら、MT4のEA/インジケーターの開発やFX関連情報サイトを運営していました。
今ではもう暗号通貨に絞って福岡を拠点に隠密活動しています。主にNEMをガッツリ、EthereumのDappsは趣味程度に。10年近いトレーダー経験を活かし、暗号通貨相場のテクニカル分析もやってます。
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