変革するフィンテック:セキュリティトークン運動に対する世界規模のアプローチ

 最終更新日2018/12/23 公開日2018/12/23    この記事は 約7分 で読めます。

本記事に出てくるMillbrook Accordはセキュリティトークン(有価証券型トークン)の取り組みを拡大するべく、NEM財団など業界大手が集結した組織です。

本格的な実用化まではまだ時間がかかりそうですが、2019年からさらにセキュリティトークンについて話題も増え注目も高まると思います。

そこにNEMが技術面で入り込んで一端を担おうというこの話題はポジティブなものですので、ちょっと難しい部分あるかもしれませんが読んでみておいてください。

この記事は最初にNASDAQに掲載されたものです。
Fran Strajnar氏著―業界全体にわたる企業エコシステムの持ち株会社であるTechemy、CEO

セキュリティトークンの将来性

暗号通貨市場は現在低迷しているにも関わらず、セキュリティトークン運動は現在も、ブロックチェーンと金融業界の関係者が楽観的な態度を保つための拠り所となっています。

その潜在的な市場は500兆ドルと推定されており、セキュリティトークンが多くの人々にとって魅力的な将来性を持つことは間違いありません。

しかし、その分野が本当に飛躍するためには、切迫した互換性の問題や全世界の管轄地域における様々な規制の要件など、多くの障害を乗り越えなければなりません。このとてつもない新しいアセットクラスの潜在性をフルに解き放つためには、世界規模での産業の協力が必要になります。

セキュリティトークンが将来の金融技術の根本的な支柱になる、ということに疑いはほとんどないようです。暗号通貨がお金と決済をデジタル化している一方で、セキュリティトークンは所有権をデジタル化し、伝統的な証券や、金のような物体のアセットまで、あらゆるものをブロックチェーン上に移行します。

この業界で実際に起こりつつあることは、数十年にも及ぶ「価値のデジタル化」の始まりと説明することができます。セキュリティトークンは証券市場に、ブロックチェーン固有の性質である透明性を付与するだけでなく、高価なカストディアンサービスの必要性を低減し、証券市場をこれまでよりもアクセスしやすいものにします。

透明性とコスト効率が向上することに加えて、セキュリティトークンは世界的な金融市場に、まったく新しいレベルの効率性と流動性をもたらします。現在、証券の取引と売買を行う場合には、取引が約定するまでに数時間から数日かかります。

これは、グローバル化した経済においてさえも、証券取引所は通常の営業時間で運営されているためです。セキュリティトークンは世界中で24時間365日取引可能です。インターネットと同様に、ブロックチェーンには「休業日」はありません。

現在、多くの取引所が、証券を一日中世界のあらゆる場所で取引することが可能な、オンライン取引プラットフォームに取り組んでいます。

従来の金融機関にとって明らかなメリットがあるため、セキュリティトークンは大手銀行や機関投資家から多くの注目を集めてきました。私は、そのことはブロックチェーン産業にとってメリットしかないと考えています。

というのも、規制に準拠した、資産を担保にしたデジタルアセットは、従来型の投資家にとって、なじみ深い魅力的な投資先となるはずだからです。

機関投資家たちを動かす

機関投資家たちはしばしば合法のアセットクラスとしての暗号通貨に慎重な姿勢を取ります。その理由の一部は、一見すると予測不可能な市場の状態にあります。

証券市場はすでに厳しく規制されているため、有望なセキュリティトークンオファーリング(STO)は、初めから法律と規制に準拠したものとなります。

そのことは、ブロックチェーン産業が2017年に貼られた「ワイルドウエスト(開拓時代のアメリカ西部)」のレッテルを返上する助けとなるでしょう。セキュリティトークンは機関投資家に、より安心して参加できる市場に参入する機会を与え、結果としてブロックチェーン産業を変容させることになるでしょう。

潜在的利益が多くあるにも関わらず、規制に準拠したセキュリティトークンの発行が、なぜ暗号通貨の隆盛に後れを取っているのかを考えていることは意義のあることでしょう。

セキュリティトークン運動の成功に立ちはだかる主な課題は、規制がその性質上、世界中で断片化していることでしょう。

セキュリティトークンが従来の証券産業を、年中無休のグローバル化した市場へと変容させることを見込まれている一方で、証券についての世界中の規制は、複雑でしばしば相反するものになっています。

業界内での協力が限定されているため、様々な組織が発行したセキュリティトークンは、その発行後には、取引所、カストディアン、個々のウォレットなどを含む、ブロックチェーン間、そして市場の参加者間での互換性が欠如したものになっています。

そうした問題を効果的に解決するために、業界内の関係者およびセキュリティトークン推進者の間の国際的な協力が必要です。

セキュリティトークンが新しい世界経済の核を形成することは確実ですが、それが実現するまでに乗り越えるべきハードルは多くあります。業界が現在直面している問題は、いずれも孤立、サイロ化した状況では解決できないでしょう。

Millbrook Accordの結成

だからこそ、ブロックチェーン業界のリーダーたちのコンソーシアムが、Millbrook Accordを結成したのです。

Millbrook Accordとは、セキュリティトークン運動の主な推進者たちのワーキンググループで、VTF:Verified Token Frameworkを通じて、世界中の規制に準拠したセキュリティトークンの発行を促進するために、明確なガイドラインと現実的なソリューションを提供することを目的としています。

世界初の、現在はオープンソースとなったフルに機能するVTFコードは、セキュリティトークン産業の成功を実現することを目的とした、共同イノベーションの精神を体現したものです。

ブロックチェーンと金融分野の両方が多くのメリットを実感できため、セキュリティトークンに関する疑問は解決しておかなければなりません。世界中に派生的な影響を与える真に世界的な運動であれば、その答えは国際的な協力の下、オープンな対話を通じて提出されるべきです。

この記事での見解や意見は著者のものであり、必ずしもNasdaq, Incの立場を反映したものではありません。

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