NEMはどのようにして格付けBBBを得たのか?第1回

 最終更新日2019/06/08 公開日2019/06/07    この記事は 約11分 で読めます。

2019年5月はじめ、ブロックチェーンプロジェクトを調査・分析・格付けしている中国の企業「TokenInsight」による格付けで、NEMが「BBB」と上から4番目(AAA→AA→A→BBB)の評価を受けたことが発表されました。

2019年6月6日時点では最上位のAAAに格付けされたものはまだなく、AAはビットコインのみ、Aはイーサリアムのみ、BBBは格付け対象288銘柄中14銘柄しか得られていませんので、高評価を受けていると言っていいのではないかと思います。

27ページに及ぶ英文レポートを和訳しましたので、NEMのどういった点がポジティブあるいはネガティブに評価されているのか紐解いてみたいと思います。

レポートのタイムスタンプは2019年3月となっており、調査はその前に始められたものだと思われますので、最新状況と照らし合わせると多少認識のズレてる部分もあると思うので、そのような点はわかる範囲でコメントで補記してみたいと思います。

しっかり調査されており全体が結構長いので全8回に分けて更新します。

では、はじまりはじまり。


※投資をする上でのリスクレベル。右に行くほど投資をするにあたってリスクが高い。

概要

1.NEMネットワークの枠組みはAPIゲートウェイサーバーとブロックチェーンネットワークのレイヤーで構成されている。NEMのAPIを通じて、ユーザーはNEMブロックチェーンネットワークを利用し、その技術的特徴が可能にした行動を実行することができる。

例えば、スマートアセット(※1)コントラクトの発行や、アセットプロパティの設定などである。これによって、ユーザー参入のハードルが下がり、アプリケーションのセキュリティが向上するが、同時にアプリケーションの機能性にもある程度の制限がかかってしまう。

2.NEMメインネットはローンチされてから4年が経過し、その基礎的な機能性は安定しており、現在の開発作業はNEM2(Catapult)に集中している。しかし、NEMには比較的開発者が少なく、進捗は当初の開発スケジュールよりも遅れている。

3.NEMはエンタープライズ(企業や事業)レベルのブロックチェーンソリューションを提供することを目標としている。そのブロックチェーンのプロパティと機能上の目標はすべて内部で設定されており、NEMはインフラ開発のコストを削減しつつも、エンタープライズレベルのカスタマイズサービスを最大限提供しようと試みている。

4.NEMはBaaS(Blockchian-as- a-Service)産業で比較的厳しい競争にさらされており、同様のサービスの提供を目指している、IBMのような強力なバックグランドを持つ企業と競合している。

とはいえ、コスト面、サービス、機能の強力さによって、NEMは市場に確固とした地位を築いており、MicrosoftのAzureといった従来型のクラウドサービスプラットフォームとの提携も結んでいる。

5.NEMには技術面での強みを持つ複数のコアパートナーが存在する。これはNEMエコシステムの全体としての発展にとって好都合といえる。

NEMの現在のインフラは、アプリケーションに向けたサポートシステムとして機能することに適しており、そのため、NEMの現在のエコシステムは広大な分野をカバーする機能を備えている。

ノードの点では、NEMは比較的広範囲に分散しており、うまくグローバリゼーションが行えている。しかし、一般のノードは数が少なく、ほとんどのノードはアメリカ、日本、ドイツに集中している。

6.NEMは低コストでの企業向けのブロックチェーンの導入、身分認証、便利なアセット作成方法、マルチシグネチャ(複数署名)認証などのサービスを提供している。

これらのサービスを組み合わせることで、企業のニーズを満たす確固たるサービスラインとなり、企業がエンタープライズレベルのアプリケーションを開発する支援を行うことが可能となる。

7.NEMの内部チーム(※2)は運営を行っていく中で、マネジメントに加えて透明性の欠如という問題とぶつかった。最終的には、財政危機と不適切な資金管理が明らかになった。

しかし現在では、コミュニティの投票を通じて、財団は繰り返しアップデートを行っており、傑出したプログラマーと一新した運営方法によって、ビジネス拡大と製品開発にさらに特化した取り組みが行われつつある。プロジェクトの将来的な発展については、今後も見守っていく必要があるだろう。

01.プロジェクトの内容

NEMは、企業のユーザーがより快適に独自のアプリケーションをデプロイすることを可能にする、ブロックチェーンプラットフォームを構築すべく開発を行っている。

そうした目的を持つため、NEMはその性質として現在も基礎的なオープン開発によるブロックチェーンプラットフォームである。

パブリックチェーンとしては、NEMは完全な開発モジュールを構築しており、それと同時にプライベートチェーン用のソリューションも提供している。

NEMとイーサリアムなどの一般的なプラットフォームとの違いは、NEMは独自の命名可能な区域とアセットシステムを構築しているという点である。各ユーザーは自身の「ネームスペース」をレンタルし、そのパブリックスペースを利用して「モザイク」というアセットを発行することができる。

NEMはAPIを公開しているので、ユーザーは主要なプログラミング言語をほぼすべて使用することができる。そのモジュール化された機能を活用することで、あらゆる企業の特別な要求に応じてデプロイをすることが可能になっている。

NEMはエンタープライズレベルのアプリケーションに向けたブロックチェーンソリューションを提供することを目指して開発を行っている。

BaaS産業でのNEMの競合相手は、広範囲の経験を持つ従来型のインターネットクラウドサービス企業、業界内に確固たるコンセンサスを持つプラットフォーム、急速に発展しつつある他のブロックチェーンプロジェクトなどが存在する。

ブロックチェーン産業全体がいまだに発展の初期段階にあるため、NEMは、使用コストの低さ、モジュール化されたカスタマイズサービス、豊富なアプリケーション開発などを基盤としたプロジェクトとして、他と比べて豊かな将来性を持っており、現在業界内でももっとも成功しているプロジェクトの一つとなっている。

エコシステムとデプロイ済みのアプリケーションは、NEMの現行の技術的構造のもっとも傑出した特徴の一つといえる。

偽造防止、正当な委託、金融サービスなどの分野では、NEMはすでに100社以上との提携(MoU含む)を実現しているだけでなく、企業開発に向けて様々なアプリケーションを提供している。

NEMのトークンであるXEMは「ネメシスブロック(※3)」で発行され、Bitcointalkでの議論への参加を通じて、合計33億5800万のトークンが、一件当たり225万XEMを上限として1500個のアドレスへ送信された。

NEMのプロジェクトは2014年に開始し、一部の機能はイーサリアムを凌ぐものであった。

プロジェクトのコア開発は2014年と2015年に行われ、最近では開発のペースは緩やかだが、その原因のほとんどは内部のマネジメントと再編成にある。ロン・ウォンによる最初の運営体制では大規模な内部構造の再編成が行われたが、財務の管理はいい加減で、資本支出の管理もずさんだった。

NEMの価格が市場で下落すると、内部のマネジメントは深刻な問題に直面した。2019年に新代表(アレックス・ティンスマン)が就任した後、NEM財団は経営構造と管理のメカニズムの大規模な再編成を行い、さらに洗練された開発計画が立てられた。

ガバナンスが改善されたかは今後も様子を見る必要があるだろう。

これらすべてを考慮し、TokenInsightはNEMをBBBの評価とし、今後の展望は安定したものになると考える。

第2回に続く

責任の制限、および免責
1.TokenInsight Inc.は評価レポートの公表に関して、以下のように宣言する。
2.TokenInsight Inc.(TokenInsight Inc.の評価プロジェクトのチームメンバーと評価委員会のメンバーも含む)と評価対象との関係性が、評価の客観性、独立性、公平性に影響を与えることはない。
3.TokenInsight Inc.のチームメンバーはデューデリジェンスの義務を真摯に受け止め、評価レポートが、客観性、信頼性、公平性の原則にしたがって作成されたことを保証する。
4.このレポートは、関係する法律、規制、適切な内部の信用格付けプロセスと規格に準拠して、TokenInsight Inc.が独自に行った判断の結果である。
5.ここに含まれるあらゆる情報はTokenInsight Inc.がその正確性と信頼性を認めている情報源から入手したものである。しかし、人的および機械的なミスなどの可能性があるため、ここに含まれる情報はすべて「現在の状態」として提供され、当方はいかなる保証も行わない。TokenInsight Inc.は必要に応じて、評価レポートで使用した情報の真正性、正確性、完全性、適時性を確認し検証しているが、商業目的での利用に関して、真正性、正確性、完全性、適時性、実現可能性、適切性についての、明示の、または黙示の事実表明および保証は一切行わない。
6.この評価レポートに含まれる信用格付けおよび市場価格分析は、一意見として解釈すべきもので、それが唯一の解釈方法である。トークンの売買や保有を推奨したり、事実を表明するものとして理解すべきではない。
7.評価レポートのリスク評価は、このレポートの公表から次の修正までの間、妥当なものとする。同時に、TokenInsight Inc.は定期的ないしは不定期に評価対象を追跡し、信用評価を修正すべきかを決定し、それを適時公表していく。

 - NEM(ネム)

  著者プロフィール

お忙しいところ、貴重なお時間の中での当サイトへのご訪問ありがとうございます。

WEBデザイナー/ディレクターとしてのリーマン生活を脱却し、FX専業(兼業?)トレーダーをやりながら、MT4のEA/インジケーターの開発やFX関連情報サイトを運営していました。

今ではもう暗号通貨に絞って福岡を拠点に隠密活動しています。主にNEMをガッツリ、EthereumのDappsは趣味程度に。10年近いトレーダー経験を活かし、暗号通貨相場のテクニカル分析もやってます。

またの機会にぜひ当サイトをご利用いただけるご縁があればとても嬉しく思います。今後ともよろしくおねがいいたします。