NEMはどのようにして格付けBBBを得たのか?第2回

 最終更新日2019/06/11 公開日2019/06/08    この記事は 約11分 で読めます。

TokenInsightによる暗号通貨の格付けでNEMがBBBの高評価を受けたその全貌、第2回です。前回はこちら

NEMのプロジェクト分析

2.1 プロジェクト概要

NEMは企業に貢献し、エンタープライズ(企業や事業)レベルのアプリケーションに対応可能な分散型開発プラットフォームを構築しようと試みている。

イーサリアムやEOSなどの他の汎用プラットフォームとの違いは、その情報および技術プラットフォームインフラの設計、サポートされるアプリケーション、使用用途などである。

エンタープライズレベルのBaaSプラットフォーム、IoTプラットフォームなどの明確な特徴も存在する。こうしたポジショニングがNEMブロックチェーン技術の枠組みと機能の基礎となっている。

NEMブロックチェーンは独自の二層構造を採用しており、APIネットワークゲートウェイとブロックチェーンノードネットワークを構成するシステムを備えている。

NEMシステム構成

ブロックチェーンノードネットワークはブロックチェーンデータの処理を行っており、ブロックの生成、転送の承認、ノードの同期などのブロックチェーンシステムの基礎的な機能を実行している。

APIゲートウェイサーバーのレイヤーはNEMネットワーク内でのRESTful APIのリクエストを処理しており、ユーザーがあらゆる種類のアプリケーションの機能を容易に実現できるようにしている。

こうした設計を採用しているため、ユーザーは、ブロックチェーンシステムによるサービスを利用する際にも、ノードクライアントをダウンロードする必要はない。

さらに、APIコールはブロックチェーン外のいかなる言語、構造面での必要条件も持たない。そのため、ユーザーはNEMブロックチェーンシステムの内部で、自分の好きなように都合に合わせてサービスを切り替えることが可能である。

2.2 機能の紹介

「APIを通じて複数の機能を実装可能」

ネームスペース

ネームスペースはNEMシステムのコア機能の一つである。ネームスペースによって、それぞれのユーザーは自身の管理アカウントについて、認識・記憶が容易な一連のタグを持つことが可能(※1)になる。

NEMのネームスペースはサブネームスペースをサポートしている。さらには、モザイク(スマートアセットシステムを構成するユニット)も特筆すべき機能である。

ネームスペースはシステムの使いやすさを向上させており、この点もクライアントを獲得する際に、ユーザーエクスペリエンスの面で重要となる。

比較すると、EOSや他の新生代プラットフォームは、同様のアカウントや、すでに実用化済みのアセットネーミング機能を提供してはいるが、イーサリアムのENS(Ethereumネームシステム)はまだ幅広い使用用途にはデプロイ(利用可能な状態にすること)されてはいない。

スマートアセットシステム(SAS)

SASはNEMシステム内の基礎的な機能と考えられている。NEMはそのスマートアセットコンポーネントをモザイクと命名している。

モザイクという名前にはそれが循環ユニットとして使用されるだけでなく、多くのモザイクコンポーネントが一つになって、よりマクロ的な全体像を構成することもできるという意味が込められている。

モザイクはそのAPIを通じて定義することが可能で、そのユニットは譲渡不可能である。グループ内の様々なプロパティと、システムが提供する様々な機能の融合を通じて、スマートアセットは、覚書、ポイント、証明書などの様々なユースケースに貢献することが可能となる。

モザイクの機能は、イーサリアムやEOSなどのプロジェクト内でユーザーのスマートコントラクトによって発行されるトークンに似ている。

他のプラットフォームとNEMとの違いは、イーサリアムや他のプラットフォームではトークンはスマートコントラクトをアップロードすることで実現しているのに対して、NEMはそれをモザイクのプロパティを設定することで達成しているという点である。

こうしたデザインにより、設計の中でユーザーが設定する個所を減らすことで、アセットデザインのセキュリティが向上し、ユーザー参入のハードルが低くなっている。しかし、それと同時に、この仕組みはスマートアセットとその機能性についての自由度を低下させている。(※2)

さらに幅広いスマートアセット運用とより複雑なサービスロジックは、オフチェーンの方法論を通じてしか達成することはできない。

ウォレット

NEM Walletを使うことで、NEMのアカウントは、ユーザーのアカウント管理を容易にしてくれるマルチシグネチャの機能をスムーズに獲得することができる。

アポスティーユ

NEMはブロックチェーンの変更不可能性を取り入れ、チェーン上のタイムスタンプ機能とリンクしたアポスティーユ(公証)システムを実現している。NEM Walletの視覚的インターフェースを通じて、ユーザーは簡単にファイルを検証して、その真正性を証明することができる。

評価メカニズムと不正防止

NEMはEigentrust++アルゴリズムを採用し、それぞれのブロックチェーンノードの活動を評価し、ノードに対する「評価」スコアを作成する。

スコアの低いノードはネットワークから拒絶されることになる。同時に、ネットワークは内部の不正防止フィルターも備えており、悪意のあるリクエスト(短時間の間にあまりに多くの転送を行うなど)は自動的にフィルターによって排除され、通常の使用の促進とネットワークの維持が行われている。

カタパルト(Catapult)

Catapultは新世代のNEM(もしくはNEM2)の名称で、現在開発段階にある。Catapultは、アカウント、インターネットコントラクトなどを実現するための機能を含めた、一連の新規機能を提供する予定である。

2.3 コンセンサスメカニズム

「独自のPoIコンセンサスメカニズム、スーパーノードとのネットワークの共同管理」

NEMはPoI (Proof of Importance)コンセンサスメカニズムを採用(※3)しており、ブロックチェーンネットワークのノードを使ってコンセンサスを達成している。

ノード間では、三つの要素を基準にして"importance(重要度)"が判断される。つまり、所有しているXEMトークンの数、それを保有している期間、アカウントのアクティビティのレベルである。

アカウントの重要度を計算することで、そのアカウントがブロックを生成する権利を得られる可能性が決定される。PoIメカニズムは比較的PoSメカニズムと似ており、そのため同様の問題を抱えている。

PoWネットワークとは異なり、ブロックを生成するには巨大なハッシュパワーを制御する必要はないが、ノードをサポートする強力なハッシュパワーがないため、ネットワークのセキュリティを確保することは困難である。

この理由から、ネットワークの安全な運営を維持するためには、PoIコンセンサスメカニズムに加えて、Eigentrust++による評価計算とスーパーノードが必要になる。

同時に、NEMはコンセンサスメカニズム内に委任ハーベストという独自機能を持っている。ユーザーは特定のスーパーノードにXEMを担保として預けることで、その額と比例したXEMの報酬を受け取れる権利が与えられるだけでなく、ブロックを生成する可能性も向上する。

第3回へ続く

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 - NEM(ネム)

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