NEMはどのようにして格付けBBBを得たのか?第3回

 最終更新日2019/06/12 公開日2019/06/10    この記事は 約10分 で読めます。

TokenInsightによる暗号通貨の格付けでNEMがBBBの高評価を受けたその全貌、第3回です。前回はこちら

02. NEMのプロジェクト分析(前回から引き続き)

2.4 イーサリアムおよびEOSとの比較

現在NEMはイーサリアムやEOS(分散型開発機能を実現するために使われているバーチャルシステム)などのブロックチェーン開発プラットフォームが使用しているスマートコントラクトは採用していない。

その代わりに、システム内では一連の特別なアトミック機能が存在する、そうした機能が、アカウント、スマートアセット、転送作業などについて、すべてのプロパティと可能な機能を定義している。

ユーザーはそうした一連の機能の特性を通じて、NEMブロックチェーンの使用の際に独自の運用方法を実現し、望ましい結果を得ることが可能となる。

2.5 プライベートチェーン:Mijin

Mijinとはテックビューロホールディングス社が提供する、NEMを基盤とするプライベートチェーンである。ユーザーは独自の要件を設定し、彼ら独自の使用用途に向けて、NEM関連技術を基盤としたプライベートチェーンを定義することが可能となっている。

この種のカスタマイズ性によって、ユーザーは高いセキュリティ性や高いスループットなどのパブリックチェーンでは実現不可能な機能を獲得することができる。

NEMのパブリックな開発プラットフォームと比較すると、Mijinのプライベートチェーンは、事業や企業からのカスタマイズ性への需要にさらに応えるものとなっている。

2.6 開発の進捗

「全体としての開発の進捗状況はややスローで、コミュニティの活動によるオープンソース開発もまた低調である。」

NEMメインネットがオンラインになってから4年が経過し、そのオープンソースコードには主にJavaが使われている。現在メインネットのコードへのアップデートはほとんど行われていない。nem.coreには2018年、たった一度のコードのアップデートしか行われなかった。

現在、メインネットのアップデートは開発者サポートとNEM Walletの構成要素に集中している。しかしながら過去半年の間に、数十のアップデートが行われている。

現在、NEMの主な開発活動はNEM2(Catapult)に集中している。レポジトリはhttps://github.com/nemtech/catapult-restructuringを参照のこと。

Catapultは元々2017年にベータリリースが行われる予定であった。しかし、コードの最初のバージョンは2018年5月にGitHub上にのみ公開された。

現在、Catapultはいまだにv0.3バージョン(※1)にあり、開発の進展はスローである。GitHub上のNEM関連レポジトリにおいて、Catapultにはたった4人のコントリビューターしかおらず、去年には数十件のコード提出しか行われなかったことが述べられている。これは主要な開発プラットフォームでは珍しいことで、開発の進捗状況が懸念されている。

Catapultは2019年におけるNEM財団が掲げる主要な3つの目的のうちの1つであり、NEMにとって今年もっとも重要なプロジェクトである。

Catapult v0.1 alpacaリリースについてのキーポイントには、統合トランザクション(複数トランザクションのパッケージングとアトミックスワップを含む)、ハッシュタイムをロックしたトランザクション(クロスチェーンを含む)、そして多段階のマルチシグネチャ機能が含まれる。

NEM財団公式ブログの記事によれば、Catapult v0.2は、アカウントプロパティ(ユーザーは転送を制限するなど、自身のアカウントや運用方法についてのプロパティを設定することができる)、Merkel-tree状態証明(ライトノードが素早くブロックの状態に同期するのを支援する)、ブロックの状態に向けたRocksDBキャッシュの使用を含む機能を提供する。

CatapultのコアコードはC++で書かれており、ブロックチェーンの機能には4層構造が使用されている。ブロックチェーンレイヤー(Catapult)、APIサーバー + MongoDBレイヤー、SDKレイヤー、そしてアプリケーションレイヤーである。NEMのCatapult開発はおおよそバージョン管理プランに一致している。

正確なスケジュールと開発目標については今後明らかになる(※2)。

2.7 プロジェクトの歴史

「NEMは比較的初期に設立され、長い間継続している。しかし、プロジェクトの進捗はスローで、製品のロールアウトの間隔は大きく開いている。」

NEMプロジェクトが2015にオンラインになってから、2016年から2018年の間に主な機能は完成している。プロジェクト開発の進捗は比較的スローである。

エコシステムの運営と事業の拡大が、これまでの運営上のカギとなっている。

2019年からNEMは比較的大規模な内部調整を行い、将来的なビジネス開発とチーム管理について体系的な方向性の統一を行った。

NEMの開発及びNEM財団の活動年表

2014年

1月:創立者であるUtopianFutureがBitcointalkに投稿を行い、NEMを正式に発足させる。
6月:UtopianFutureがコアチームにプロジェクトを譲渡した後、姿を消す。

2015年

3月:NEMのメインネットがオンラインになる。
9月:テックビューロ社がMijinプラットフォームの立ち上げを発表する。
12月:モザイク機能が発表される。

2016年

4月:当時日本最大級の暗号通貨取引所Zaifが所有する、ブロックチェーン技術企業であるテックビューロ社がNEMとの協力関係を結ぶ。

2017年

1月:アポスティーユのホワイトペーパーがリリースされる。

2018年

4月:発足当初の代表であるロン・ウォンの役割が顧問へと変更され、クリストフ・ヴァン・デ・レックが暫定代表に就任。
5月:CatapultがGitHub上でオープンソース化。
12月:NEM Venturesがジブラルタルで設立され、プロジェクトの長期的な存続を達成するための信託基金として稼働し始める。

2019年

1月:NEM財団新代表アレックス・ティンスマンが月初から自身の役割である金融監査と財団の再編成を開始し、財団に財政的な問題があることを発見する。
2月:アレックスは財団の再編成を開始する。従業員の数を削減し、自らは顧問に就任し、迅速なイテレーション(※3)、財政上の透明性、情報の公開を強調する。

まとめ

NEMはPoIのコンセンサスメカニズムと、より安全で使いやすい分散型アプリケーション開発機能を使用している。しかし、それと同時にNEMブロックチェーンの機能には多くの制限があり、アプリケーションは企業での使用に向いたものとなっている。

しかし、さらに複雑な分散型アプリケーションのニーズに応えることは困難である。2018年、NEMの開発は活発なものではなく、同様のプロジェクトよりも進展は少なかった。

開発者のグループも小規模である。将来的な機能開発等のイテレーション(※3)ペースについて楽観視することは困難といえる。

第4回へ続く

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 - NEM(ネム)

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WEBデザイナー/ディレクターとしてのリーマン生活を脱却し、FX専業(兼業?)トレーダーをやりながら、MT4のEA/インジケーターの開発やFX関連情報サイトを運営していました。

今ではもう暗号通貨に絞って福岡を拠点に隠密活動しています。主にNEMをガッツリ、EthereumのDappsは趣味程度に。10年近いトレーダー経験を活かし、暗号通貨相場のテクニカル分析もやってます。

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