NEMはどのようにして格付けBBBを得たのか?第5回

 最終更新日2019/06/14 公開日2019/06/12    この記事は 約12分 で読めます。

TokenInsightによる暗号通貨の格付けでNEMがBBBの高評価を受けたその全貌、第5回です。前回はこちら

03. 業界分析(前回から引き続き)

3.2 NEMと従来型ブロックチェーンソリューションとの比較

自己構築型のチェーンによるプライベートネットワークとパブリックチェーンプラットフォームに向けてブロックチェーン技術を活用しているクラウドサービスプロバイダーの分野では、組織は前章で述べたコスト、デプロイの容易さ、技術的な持続可能性、サービスとしての権利選択の許可などの条件を提示することができる。

この章では、NEMブロックチェーンソリューションのプランが、どのようにして従来型のクラウドプロバイダーによるブロックチェーンのプランに対抗するのかを3つの観点から、個別に分析していく。

「従来型のクラウドプロバイダーによるターンキーソリューションと比較すると、NEMや他のオープンなブロックチェーンプラットフォームは開発の困難さが軽減されており、ブロックチェーンの統合を検討している企業にとってより都合の良い仕組みになっている。」

ブロックチェーンを活用してビジネスアプリケーションを構築しようとしている企業にとっては、特定の種類のブロックチェーン技術を採用する際に影響する直接的な要素は、その技術がいかにしてコストを抑えつつ機能性を向上させることができるかという点である。

ブロックチェーン技術の使用を選択する企業のコストと利益のモデルは以下の通りとなっている。

NEMと従来型ブロックチェーンソリューションとの比較

サービスのターゲットという点では、クラウドサービスのプロバイダーは万能型のブロックチェーンサービスを構築しようと試みている。

特に、バリューチェーンが比較的長いエネルギー、製薬、農業などの産業では、製品が部門間を循環する産業内部での製品ベースのアプリケーションが一般的である。

NEMはむしろ、付加価値が比較的高い金融、ビジネス、データセキュリティなどの分野により特化したブロックチェーンサービスを提供している。それと同時に、利用者が使用のリクエストをNEMに送信すると、彼らはNEMの技術もしくは、PR協力パートナーに加え、市場サポートも選択することができる。

他にも、NEMは独自のコードを使用しているが、一方で従来型のサービスプロバイダーはイーサリアムのHyperledgerなどのインフラに頼っており、機能面でのサポートにおいて十分な差別化がなされていない。

「従来型のサービスプロバイダーによるターンキーのプランと比較すると、NEMやその他のオープンなブロックチェーンプラットフォームは、検証期間が短くて済み、ブロックチェーン技術を統合したいと考える企業にとってより都合の良いものとなっている。」

NEMのパブリックチェーンと従来型サービスプロバイダーによるブロックチェーンの特徴比較

ブロックチェーンの機能性という点では、NEMは従来型のサービスプロバイダーと比較した場合に確固たるアドバンテージを持っている。

まず、NEMはオープンネットワークの環境を提供しており、情報のオープンさの程度が非常に高い

分散型のブロックチェーンネットワークの仕組みにより、部分的にオープンなネットワークもしくはプライベートなネットワーク内で、悪意のあるノードがデータを改ざんするリスクが低下している。

同時に、NEMのオープンネットワークに参加することで、統一した基準を基礎とする、より強力なユーザー集団が生まれ、それによって将来的なビジネス拡大の可能性が向上している。

次に、企業向けブロックチェーンソリューションの検証の多くは、大規模なシステムインテグレーターの推薦に影響される。

つまり、技術はイーサリアムやHyperledger Fabricの基礎レベルの構造に制限され、パブリックチェーンを推進する新しいブロックチェーンプロトコルや技術が使用されることはほとんどない。

企業内でのブロックチェーン検証のほとんどは、技術的には非常に基礎的なもので、ブロックチェーンエコシステムの技術的な財産を使うことができておらず、クロスチェーン技術に加え、企業向けアプリケーションの応用やイテレーションの可能性も制限されてしまっている。

一方で、NEMのパブリックチェーンでは、すべてのネットワーク参加者の身元認証を行ったり、オフチェーンの拡張プランをサポートする際にいくつか不十分な点があるが、それらのブロックチェーン機能はMijinのプライベートチェーンで実装可能である。

3.3 NEMと他のプロジェクトの比較

特別な機能をまとめると、NEMと一般的な開発プラットフォームには以下のような大きな違いがある。

1.イーサリアムの機能は初歩的なものである。イーサリアムは規格化されたスマートコントラクトしかサポートしておらず、より複雑な企業からのニーズに応えることはできない。この問題については、NEMはモザイクとスマートアセットにより、企業による開発に向けたさらに複雑なアプリケーションのシナリオに対応可能である。

2.イーサリアムなどの他の開発プラットフォームは統一した監視規格が適用されていないため、アプリケーションのセキュリティの点で明確な問題を抱えている。NEMの開発者フレンドリーさとセキュリティの高さは、この面でははるかに他を上回っている

3.しかし、ブロックチェーンの機能性とエコシステムの活動という点では、コンセンサスの不十分さと開発の停滞が原因で、コミュニティにまだそれほど勢いがなく、オンチェーンでの活動も現在は不活発である。

04. エコロジカルな開発とアプリケーション

4.1 協力パートナーと協力関係の深さ

NEMのウェブサイトで示されている十社以上の開発協力企業のうち、ほとんどが技術統合サービスやブロックチェーンリサーチコンサルタントとなっている。その中でもとりわけ重要なのがテックビューロ社とDragonfly Fintech(※2)である。

テックビューロ社(現テックビューロホールディングス社)は2014年に日本で設立され、主に取引所の運営やブロックチェーンコンサルティングサービスを行っていた。同社はNEMのコア開発者と協力し、プライベートチェーンMijinの開発に成功している。

このプロジェクトを基盤として行われているのが、Catapult(つまりMijin 2.0)の開発である。そのバージョンでは内部のスマートコントラクトとマルチレベルのマルチシグネチャが実現している。

さらに、Zaifはテックビューロ社の元子会社(現在は株式会社フィスコ仮想通貨取引所による運営)であり、一日あたりのNEMのトランザクションの5%以上を担っている。

4.2 エコシステムのアプリケーションと方向性

NEMはエンタープライズレベルのBaaS開発プラットフォームで、様々な産業におけるエンタープライズレベルのアプリケーション実現の支援を行うことができる。

公式ウェブサイトでは、企業向けアプリケーションのリストが公開されており、それは主に4つのカテゴリーで構成されている。金融、ビジネスマネジメント、セキュリティ記録、分散型グループの4つである。以下の図は、NEMの現在のパートナーとエコシステム発展の方向性を示している。


※調査時(2019年2月時点)のもの。

現在、NEMアポスティーユのモジュールは認証システムを提供することが可能で、他のモデルもまた実用化されている。

さらに、NEMのネームスペースとモザイクのアセット配分機能によって、様々な種類のアセットをより効率的に保存し移動させることが可能になる。

要するに、NEMのインフラと計画及び事業予測は、エコシステムのアプリケーションの方向性と完全に一致しているといえる。

4.3 ノード分布

NEMのネットワークでは現在(2019年2月中旬時点で)、合計でおよそ490のノードが存在し、そのうち約400がスーパーノードとなっており、平均的なオンラインのノード数は445である。

1.NEMのネットワークでは、ノードのほとんどがスーパーノードであり、スーパーノードであるためには比較的多くのNEMトークンを保有していなければならず、他と比べて性能の良いハードウェアも必要となる。つまり、現在のネットワークには、スーパーノード以外の通常のノードの数が比較的少ないといえる。

2.NEMノードのグローバリゼーションの状況は良好といえるが、主にドイツ、日本、アメリカに集中している。

まとめ

NEMのエコシステムのパートナーには比較的大規模なブロックチェーンリサーチコンサルタント企業が含まれており、このことはNEMの発展とエコシステムの拡大にとって素晴らしいことである。

NEMの現行のインフラは、今後予測されるエコシステムの応用分野発見に向けたサポートをある程度提供している。ノード分布の点では、NEMのノードのグローバリゼーションは比較的よく行われているが、通常のノードの数が少なく、ノードはドイツ、日本、アメリカに集中している。

第6回へ続く

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 - NEM(ネム)

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WEBデザイナー/ディレクターとしてのリーマン生活を脱却し、FX専業(兼業?)トレーダーをやりながら、MT4のEA/インジケーターの開発やFX関連情報サイトを運営していました。

今ではもう暗号通貨に絞って福岡を拠点に隠密活動しています。主にNEMをガッツリ、EthereumのDappsは趣味程度に。10年近いトレーダー経験を活かし、暗号通貨相場のテクニカル分析もやってます。

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