複雑なThe DAOのシステムをたった10分で理解する
最終更新日2016/05/30 公開日2016/05/15 この記事は 約11分 で読めます。
ザダ夫にはかなり翻弄されまくってます。これで儲からなかったら欽ちゃんの全日本仮想大賞に「ブロックチェーン」をテーマで出場してもらいたい、中の人たちには。
The DAOについて、28日間のクリエイションが終わったあと、DAOがどのようにワークしていくのかを簡単にしてまとめました。
思ってるほど複雑ではないはずです。
なお、こちらにてDAOの詳細が記述(誤表記散見)されていますので、細かいロジックや作業的な部分は各自で確認してください。
目次
クリエイション後のETHがどうなるのか
クリエイションでは最初の15日間は1ETH=100DAOで、段階的に値上がりしていき、最後は1.5ETH=100DAOになります。
しかし、クリエイション後はすべて100DAO=1ETHとなり、値上がり部分のETHはすべてextraBalanceというアカウントに送られます。
これはクリエイション終了後、1ETHで大量にDAOを保持した人たちがすぐにsplit(後述)というDAOをETHに戻す行為を行って1以上のETHを得るという攻撃から守るためなんだそうです。
extraBalance内のDAOはそれと同額の投資が行われた後にメインのDAOアカウントに戻されるようです。
クリエイション後半 10億DAO=1500万ETH
500万ETHがextraBalanceに保管され、20億DAO=2000万ETH(DAOメインアカウント内)となる。
例えばslock.itの500万ETHを要する提案が可決され出資されたら、2000万-500万+500万でイーブンになり、extraBalanceが空になるということになります。
よって1.5ETHで買った人もクリエイション後は1ETHの価値をもつ100DAOを保有しているということになります。
Proposalの提出から成立までの流れ
DAOホルダーは誰でもproposal(提案)を送ることができ、contractor(Slock.itとか)になる機会があります。
前提
総発行量が10億DAO(1000万ETH)だったとします。
流れ
2:curatorらの承認を経て投票開始
・100DAOホルダーのYesはYes100票、その分を出資するワケじゃなくてただの票
・無投票者は多数決の結果に従わされるだけ
・投票したら期間中のDAO移動は不可能(Mist内DAOの場合)
3:proposal[#1]がDAOsにより賛成多数で可決され、contract[A]となる
4:[A]は200万ETH分の出資を受けることが確定(但し一括ではなく分割して支払われるらしい)
5:DAOのスマートコントラクトがReward Tokens(以下RT)を自動で発行
6:contract[A]のビジネスから得られた分配報酬はRTに紐づけられることになる
ここまでがおおまかな流れになります。
一般的なDAOホルダーたち
では、私たち一般のDAOホルダーには何が起こっているのか?を確認してみます。
おそらくここがもっとも知っておくべきところだと思います。
前提
DAOホルダー[B]は100DAOを保有している。
proposal[#1]が可決され、報酬が発生するとこうなる
得られた分配報酬はDAOの占有率によって変わります。
この例ではDAOの総発行量は10億DAOなので、[B]は0.00001%を占有してることになります。
すると分配報酬はシンプルに次のように計算されます。
[B]の利益…10円
もし[B]が10万DAOを保有していたなら、
[B]の利益…1万円
ただしこの計算例は誰もsplit(後述)してないことが前提で、もし自分以外の誰かがsplitすることで占有率は上昇します。
DAOの所有者が変わるとどうなる?
DAOを取引所で売ったり買ったり、誰かに送ったり贈られたりでその所有者は昼夜問わず変わっていくことになりますね。では、その場合、DAOには何が起こってるのでしょう。
この項は、次で解説するsplit後のDAOの状況に関連した話です。
100DAO は、最初の流れの例だと0.8ETHと0.2RTにより裏付けられてることになってます(この比率は常に8:2ということじゃないので勘違いしないでください)
もしホルダー[B]が外部取引所なり直接なりでホルダー[C]に10DAOを売ったり譲ったりしても、その比率は常に裏付けられてることになります。
ホルダー[C]の10DAOは、0.18ETHと[#1]の0.02RT
今の段階では、トレードとかする際に表面上ではふつうに[B]は100DAOから90DAOになり、[C]は10DAO受け取ったとなります。
したがいまして、DAOを売ることは報酬を受ける権利やその価値も売ることになります。
今の時点では[#1]しかcontractはありませんが、この先[#2][#3][#4][#5]…[#100]などと増え、そしてまた多くのホルダーが後述するsplitを実行していくほど、めっちゃ複雑な裏付けがされるってことになります(常に8ETH:2RTではない)。
しかし、それぞれのcontract毎に個別でRTが作られていくわけではなく、1つ1つのDAOトークンの中に裏付けとして紐づけられていくことになります。くりかえしますが、表面的にはただの1DAOです。
splitて?それっていったい何なの?
The DAOのsplitという機能についてです。細かい手数料とかも発生するかもしれませんが、その分は除いて書きます。
splitとは簡単に言ってしまうと、DAOホルダーが自分のDAOをsplitで分解してETHに戻せる機能です。あまりsplitを多用してほしくないのか必然なのか、かなりめんどくさい流れを要するものに仕上がっているようです。
1つ以上のcontractに出資が行われた状況では?
「100DAO は、0.8ETHと0.2RTにより裏付けられてる」ならばこう。
2:1週間後、関数SplitDAO()を呼び出すことでsplitが実行されます。
3:28日後、[B]の100DAOはETHとRTに裏付けられた固有のnewDAOとして新しくクリエイション
・newDAOには自分で名前を付けることも出来るようなのでB_DAOとします。
4:ETHを自分に送るというproposalを作り、自分でYesに投票します。
5:2週間後、0.8ETHがアドレスに送られてきます。
6:元の100DAOはBurnされ消滅します、よって総供給量が9億9999万9900DAOに減少します。
7:[B]の手元には0.2RTに裏付けされたB_DAOが残りました。
B_DAOには引き続き、そこに紐づけられた割合で報酬が加算されていきます。
[B]はB_DAOトークンによって0.2ETH分の出資を継続していることになり、またそれは[#1]だけへの出資ではなく、The DAO全体への出資というかたちになっています。
よって新しいproposalが次々と承認され報酬が発生する毎に、0.2RTに紐づけられた割合で報酬が加算されていくことになります(なるはずです→具体的な算出ロジックがまだよくわかっていません。DAO本体から外れているため占有率はどんどん小さくなるかと思われます。)
B_DAOトークンを単体でトレードできないの?
現状ではNoですが、将来的にはYesの方向なんだそうです。
B_DAOトークンをsplitして0.2ETHに戻せないのか?
出資金を引き上げるという行為になると思うのですが、これはcontractorのビジネスに影響する可能性があるので、たぶんできないのではないかな…と思います。
contractor[A]が破綻したらどうなんの?
この件をフォーラムで尋ねてみたのですが回答が得られませんでした(質問の仕方が悪かったかも)、その場合はB_DAOトークンを失うリスクがあり、紐づけられた報酬もすっ飛ぶ可能性が高い…ということで想定しておいた方がいいかもしれません。
いつsplitを使うの?
●ある提案に対してNoあるいは無投票だが出資に回されたくない場合
●もうThe DAOとお別れしたい場合
など考えられますが、いずれにしてもすでに出資として回された分があれば100%のETH返金は叶いません。splitをしてお別れしたが、またダオラーになりたい!って興奮してムラムラがとまらなくなったら、どこかの取引所からDAOを買ってくるか、誰かにもうらうかする必要があります。
この仕組みを知らず10年後に「splitしてETHに戻せるのか!」と思い立っても、0.0001ETHと0.9999RTに裏付けられてしまってるかもしれません。その頃にDAOの価値が上がって含み報酬もたくさんあればいいですが、そうでない可能性だってありますね。
The DAOに対してポジティブ目線である僕としては、splitってあんまりいらない機能だと感じています。
めんどくさ!だからUI出るのを待つ
それぞれのsplit実行やnewDAO管理のためのソレが搭載されるか不明ですが、なんかGUIの開発が進んでいるようです。Mist経由かオンラインならmyetherwallet経由で使える模様。
この画像はSlock.itのtwitterにて公式に出されたものです。
長々と仕組みを解説しました(すべてではない)が、いずれ僕のようなアホでもポポポポポンとカンタンにあれやらこれやら管理/実行できるようになるんじゃないかと思います。
投資家のすべてがエンジニアやプログラマーではないので、投資好きのビジネスマンや学生とかミセスワタナベの類とか広く巻き込んでいくには絶対的に必要ですからね。
著者プロフィール
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WEBデザイナー/ディレクターとしてのリーマン生活を脱却し、FX専業(兼業?)トレーダーをやりながら、MT4のEA/インジケーターの開発やFX関連情報サイトを運営していました。
今ではもう暗号通貨に絞って福岡を拠点に隠密活動しています。主にNEM Symbolをガッツリ、EthereumのDappsは趣味程度に。10年以上のトレーダー経験を活かし、暗号通貨相場のテクニカル分析もやってます。
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