トークノミクス(トークンエコノミー)とは何か?

 最終更新日2018/07/22 公開日2018/07/22    この記事は 約13分 で読めます。


最近また話題になりつつあり、以前よりも深いところに入ってきた感のある「トークンエコノミー」についての英文記事を発見しましたので和訳してみました。その分野には今最も興味があるので学んでいきたいと思います。

最後の項目に「ERC20トークンの作成が好まれる」という括りになってますが、要件さえ満たせばスマート"アセット"プラットフォームであるNEMのモザイクトークンなどでもOKなところはあらかじめ強調しておきます。

はじめに


原文では「トークノミクス」とありますが「=トークンエコノミー」で良いと思います。トークノミクスという言葉を最初に知ったのはSigularDTVのCEOの記事でした。彼が起源なのかどうかは置いておいて「トークノミクス=トークンエコノミー」として読んでください。

また、原文のタイトルはサブタイトル的に「トークノミクスがいかにあなたのICOの成功を左右するか?」と付けられていますが、それが適用されるのはICOに限らないと思いカットしました。

例えばNEMのモザイクで独自トークンを発行し、何かしらのエコシステム内で提供し循環させているような場合にも考えを広げた方が有意義だと思うのです。

本文ではICO目線ですが、ICOはトークノミクスの代表格であり、そうではないケースでも十分に適用可能な場面はあるとしてお読みください。

では、以下が和訳です。

トークノミクス(トークンエコノミー)とは何か?

自分が小さな国の国王だと想像してください。

あなたの国の全国民が商品やサービスを取引する物々交換のシステムに従っています。しかし、あなたは次の理由から物々交換が手間のかかるプロセスだと考えました。

欲求の二重一致

もし市民Aが衣服を欲しがっていて、小麦を生産している場合、Aは自分と正反対の状況の人物を見つけなくてはなりません。こうした対応する当事者を見つけなくてはならないことを、欲求の二重一致と呼びます。この特性は国王のあなたにとって望ましいものではありません。取引がスローになるからです。

商品の証明

Aは小麦の入ったバッグを市場に持って行くのでもない限り、それを販売して布一式と交換することはできないでしょう。これもやはり望ましいことではありません。なぜなら市場の不必要な混乱を招き、取引の邪魔にもなるからです。

解決するにはどうすれば良いでしょうか?

特定の価値を表す役割を持つトークンがあれば良いのです。

幸運なことにあなたは国王なので、様々な価値を表す多種多様な「通貨」を発行するように命じることができます。

そうすれば、Aは一致する価値を持つ通貨を使って支払いを行うことで、布を購入することができます。しかし、ある疑問が生じます。どのようにして国民に通貨を分配するのでしょうか?

あなたは国民に用水路を掘るように依頼して、その対価として通貨を与えるというアイディアを思いつきました。十分な数のコインが国民に届いてしまえば、彼らは元々の仕事に戻り、コインを使って取引を行うようになるでしょう。

これがトークノミクスの本質です。

人々がそれを商品やサービスと交換できるようにトークンをエコシステム内で発行する手段や動機は「トークノミクス」と呼ばれています。

暗号通貨の世界では、トークンはエコシステムの「通貨」です。ブロックチェーンを基盤とする製品を開発している企業はそれぞれ、自身のエコシステムの内部でのトランザクションを促進するために使われるトークンを発行しています。

良いトークンの条件

人々がトークンを使用する動機付けとなるようにトークンを開発することは、ICOそれ自体を行う際にも決定的に重要な要素です。

それ以外にも、トークンの使用を中心としたエコシステムを作り上げるという目的をしっかりと達成するためには、以下に列挙した複数の要素が実装されなければなりません。

よく設計されたトークンとは:

● エコシステム内での実用性がある
● インフレ圧力に耐性がある
● スケーラブルで、通貨単位が変更可能である
● 価値の貯蔵である
● 交換可能である
● 人々に広く受け入れられている
● 取引所で取引可能である
● その使用の動機づけが行われている

では、私たちはどのようにICO向けのトークン開発に取り組めば良いでしょうか?

なぜ考えすぎがそれほど悪いとは言えないのか?


トークン開発の第一歩は、トークンの交換によって促進されるトランザクションを見つけ出すことです。例えば、ビデオストリーミングソリューションを開発しているとします。

私たちはログインのシステムをトークン化して、プラットフォームへログインする際にユーザーがトークンを支払うようにするか、利用の行為をトークン化して、コンテンツを視聴する際にユーザーがトークンを支払うようにすることができます。

この場合、ログインのシステムをトークン化する方が容易な方法に見えるかもしれませんが、それでは他のアップロード者よりも多くのアクセスを得ているアップロード者の動機を低下させてしまいます。したがって、このケースでは利用自体をトークン化するのが適切なのです。

「YouTubeでさえ、視聴人数に応じた対価をアップロード者に払っています。」


第二に、トークンはエコシステムの総体的な価値を表すので、システムの維持などの機能や弁護士にかかる費用、プラットフォームのアドバイザーに支払う分など、ある一定の割合のトークンを確保しておくことが望ましいといえます。

これには繊細なバランス感覚が必要になります。もしあまりに多くのトークンを確保しすぎれば、エコシステムを成功に導くのに十分な量のトークンが残らないかもしれないからです。これは実世界の例を考えると理解することができます。

「もし政府があまりにも高い税金を課せば、市民の手元には必需品を買うのに十分なお金が残らず、企業は誰も買うことのできない在庫を抱えることになります。」


第三に、そうしたトークンは基本的には紙幣を増刷するよりも容易に複製できる性質を備えています。したがって、トークンの開発者が具体的に規定されたトークンの発行上限を守らなかった場合、その開発者たちは時の経過とともにトークンの価値を下落させるインフレのジレンマに直面することになります。

「トークン数の発行上限は、使用が盛んになるにつれてトークンの価値が上昇するように機能します。」


第四に、トークンをローンチする際には様々なステークホルダーが関わっており、そのすべてに対して動機づけを行う必要があります。あらゆる段階において、トークンの保有ではなくトランザクションの促進の達成が目標となります。

トークノミクスは永続的なデフレのサイクルを基盤としているので、その価値が上昇することを期待する人々がトークンの保持に走るリスクがあります。

「多くが保持されてしまえば、そうしたトークンはトランザクションに使うことが不可能になり、エコノミーは崩壊してしまいます。」

第五に、トークンの強さの有効な指標として、様々な暗号通貨取引所へ上場されていることが挙げられます。bittrex、binance、coinbase、bitfinexなどが最も有名な暗号通貨取引所です。

「トークンが複数の取引所に上場されると、それを知った人々は、そのトークンがフェアな市場価格での価値を持ち、不正な価格操作は行われていないと考えるようになります。」

業界主導の規格


暗号通貨業界において一般的に規制の規格が存在しないという状況を受けて、コミュニティ自身が厳格な試行錯誤のメカニズムに基づく、いくつかの自主的な規格を考えだしてきました。

ある企業にとって有効なルールが、すべての企業にとって有効だとは言い切れません。普遍的な規格とは、一般的に暗号通貨の業界が打破しようとしてきたものだからです。

つまり、そうした規格とは、検証されて、大体の場合に好ましい結果を残すことに成功してきたガイドラインのようなものだと言えます。

そうしたガイドラインとは…

1億のトークンを合計の発行上限とする

トークンの数を多くしすぎると、インフレ圧力が強まり、数を少なくしすぎるとデフレ圧力が強まるという状況がこれまで見受けられました。

理想はエコノミーをややインフレ傾向に保つことですが、十分な量以上を流通させると、トランザクションではなく保持を促進することになります。一般的なユーザーが、保持や投機ではなく、トークンを使用したいと思えるように、トークンを実装するのが望ましいです。

創設者の取り分としてトークンの15~20%を確保する

創設者はトークンを開発し実装するためのあらゆる努力を行ってきたので、彼らが労働の対価として一定の割合のトークンを与えられるのはフェアな仕組みです。さらに、それにはあまり知られていない役割もあります。

コミュニティ全体にメッセージを伝えるというものです。創設者が自身である割合のトークンを持っていれば、彼らの資産はトークンの市場におけるパフォーマンスに左右されることになります。

それによってユーザーは、創設者がICO以降もプロジェクトに取り組み続けることを強く信じられるようになるのです。さらに、創設者の取り分のトークンは、ICOの期日から2~5年間は売却することが許可されていないことが多いです。

弁護士の費用などに5%を確保する

暗号通貨の業界は一般的に、ほとんどの地域で規制が行われていません。つまり、法的な監督が現在行われているので、法律に準拠し、可能な限りの法的な明確性を維持するのが最善となります。

さらに、そうした取り組みはユーザーを安心させる役割を果たし、一般的なユーザーは自身の投資しているプロジェクトに法的な裏付けがあると保証されることで安心感を得ることができます。

プラットフォーム維持のために10~15%を確保する

あらゆる開発者が、最低限の実用可能な製品を発表するか、一度で完ぺきな製品として完成させるか、というジレンマに直面します。

したがって、暗号通貨の業界のみならず、あらゆる製品は持続的なメンテナンス定期的なアップグレードを必要とします。さらにユーザーに被害を与えかねないバグを随時修復したり、パッチを発行する必要もあります。

報酬プログラムのために5%を確保しておく

例え最高の製品を開発したとしても、売り上げを伸ばし消費者の関心を得るためにはマーケティングを行う必要があります。

マーケティングを広く行うほど、その製品を知る人も多くなります。したがって、報酬プログラムは、メディアのインフルエンサーに対して、製品についてリツイートしたり、BitcoinTalkなどの主要な出版物で製品をレビューする見返りに支払われ、さらにホワイトペーパーを他言語に翻訳した対価として与えられるように設計されます。

さらに報酬プログラムは、ちょうど先ほどの王様が国民に用水路を掘らせた例と同様に、ステークホルダーにトークンによる報酬を与える資金源としても機能します。

ステークホルダーに割り当てられる50~60%のトークンは、一度ではなく小分けで販売する

これは、あらゆるトークノミクスにおいて最も重要な要素です。ここでの目的は、様々な機関や個人を通じて資金を調達することです。少数のトークンを数多くの投資家が持つという状況の方が、その逆の状況よりも好ましいのです。

それは、取引量が多いほどトークンが健全である証拠だからです。そのため、トークンセールは小さな単位に分割されます。プライベートセール用の販売分があり、そこではより多くの投資家の興味を引くようにディスカウント価格で販売が行われます。

最後に、実際のトークンセール(つまり特定の行政地域におけるICO)が行われ、その際も1ヶ月ほどの期間をかけて、管理可能な小規模の単位に分けて販売が行われます。

ERC20トークンの作成が好まれる

”ERC”とは“Ethereum Request for Comments”の略です。これはイーサリアムネットワークに改良を提案する際の公式のプロトコルです。“20”は独自のプロポーザルID番号です。ERC20は基本的には、イーサリアム上でトークンが交換可能であることを意味するプロトコルです。ERC20の構造を採用することで、トークンが規格に準拠すると同時に、独自なものとなります。
(補記:要件が満たせるならばNEMのモザイクでもいいと思います)

まとめ


あるトークンのトークノミクスを設計する際には、使用用途、有用性、価値の3つが重要になります。そうした3つの要素の中に実用性(ユーティリティ)をどのように配分するかは、トークン開発者の特権です。

他の要素を犠牲にして、ある要素を優先させることもできますが、配分の判断材料となるのは正確なビジネスの知識と経験に違いありません。

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WEBデザイナー/ディレクターとしてのリーマン生活を脱却し、FX専業(兼業?)トレーダーをやりながら、MT4のEA/インジケーターの開発やFX関連情報サイトを運営していました。

今ではもう暗号通貨に絞って福岡を拠点に隠密活動しています。主にNEMをガッツリ、EthereumのDappsは趣味程度に。10年近いトレーダー経験を活かし、暗号通貨相場のテクニカル分析もやってます。

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